第201話 デスゲームに想う
角川ホラー文庫で、デスゲーム小説コンテストやるらしいですね。
応募するかどうかは、分からないんですが、もし書けそうなアイディアがあったら書きたいなー。いま書いている小説ももうすぐ書き終わるし。
さて、コンテストとなると引っ掛かってくるのがふたつ。
ひとつは、規定文字数。
もうひとつは、どんなものが求められているか?ですね。
要項を見ると、『バトルロワイヤル』、『リアル鬼ごっこ』、『イカゲーム』が入っています。『ソード・アート・オンライン』がないとこを見ると、あんな感じの小説はお呼びではなく、あくまで角川ホラー文庫から出せるような、怖いものをということでなのでしょうか。
それとも、「デスゲーム」はあくまで、人が殺し合うゲームのことをさし、クリアできないと死ぬタイプのゲームではないということでしょうか。
すこし昔の話をさせてください。
もうずいぶん前の話になります。
お台場にあるフジテレビに行ったときのことでした。どんな目的でフジテレビにいったのかは、今はもう思い出せないのですが……。
ぼくはあのとき、時間調整のために、道路を渡った反対側にあるショッピングセンターの本屋に立ち寄りました。いまはもうその本屋はありません。
ぶらりと本屋を一周し、そのあと用事を済ませ、帰宅……しませんでした。
どうしても気になる本があったんです。その本は真っ黒な装丁で、帯にこんなキャッチコピーがありました。
「中学生四十二人皆殺し」
一度帰りかけたぼくはもう一度その本屋に戻り、その『バトルロワイヤル』という書籍を買って、帰りの「ゆりかもめ」で読み始めました。
めちゃくちゃ面白かったです。
事実、その年の「このミステリーがすごい」の国内編で、『バトルロワイヤル』は六位だか七位だかに入っていました。
そののち、中学生が読書感想文でこの『バトルロワイヤル』の感想文を提出して、その是非でネットが炎上したり、映画化されたおりに国会で取り上げられたりと騒ぎになりしましたが、それも過去の話ですね。
だいたい藤原竜也さんや柴咲コウさんが高校生役やっている時点でだいたいの時代は想像はつくかと思います。他には、山本太郎さんとか栗山千明さんとか、今見るとすごいメンバーが出演してますね。
劇中では死んだけど、芸能界では生き残ったようです。
というように、いろいろと話題をふりまいた小説『バトル・ロワイヤル』ですが、これはもともと角川のホラー小説大賞に応募され、最終選考で選考委員の作家先生方によってボロクソに貶されて落選した作品です。
まあ、当時としては仕方ないかもしれないのですが。
余談ですが、日本ホラー小説の名作『リング』は、角川の横溝賞に応募されましたが、カテエラのため受賞はならず。
のちに作者がファンタジーノベル大賞(角川ではない)を受賞し作家デビューしたのち、書籍化され、角川ホラー文庫に収録されたのち、空前の大ヒットとなります。
こののち、角川はホラー小説大賞を作りますが、第一回が該当作なし、第二回が『パラサイトイブ』!
この『パライトサイブ』は映画化もされたんですが、ホラーはホラーでも、「なにかドロドロした得体の知れない物が襲ってくる」というディーン・R・クーンツ御大の流れをくむ、遊星Xな内容。
『スピーシーズ』にちかいSF小説です。
いやー、角川さん、コンテンツ育てるの下手というのはもう社風ですね。
『リング』から「ホラー文庫」の流れは良かったんですが、『バトル・ロワイヤル』は落とすというね。
そして、いまになってホラー文庫が、『バトル・ロワイヤル』みたいなものを募集する。
シュールだ! なにそれ(笑) やっと時代に追いついたのか、はたまた一周したのか。
それだけ、時が流れ、時代が変わっているということなのでしょう。
しかし、考えてみれば「デスゲーム」もすっかり定着した感があります。
ぼくが毎週見ている『仮面ライダー・ギーツ』も、内容はデスゲームですが、意識しないと気づかないです。
でも、『仮面ライダー』でデスゲームが登場するのは初めてではないです。
最初は平成仮面ライダー三作目の『仮面ライダー龍騎』でした。
なんと、十三人の仮面ライダーがバトル・ロワイヤル形式で殺し合うストーリー。
仮面ライダーV3を演じられた宮内洋氏は当時、「ヒーロー物は教育番組だから、ライダー同士が殺し合うとかは訳が分からない」と苦言を呈されておられました。
が、平成仮面ライダーの「クウガ」、「アギト」の流れを汲んで作られた『仮面ライダー龍騎』は、とにかくぶっとんでいました。
まず、デザインがアホ! ここでいうアホは、最高の誉め言葉です。
そして、カードを使った必殺技のド派手な演出。
ミラーワールドという左右反転の異世界。
正義のためではなく、私利私欲のために殺し合うライダーたち。
あ、じつは公にはされていませんが、この龍騎。じつは「仮面ライダー」という言葉を外す予定だったらしいです。
が、石ノ
いやー、●澤プロといい、過去の偉人の遺産しかない会社はつらいですね。
そして、この龍騎。じつはあるブルーオーシャンを開拓しました。
なにせ、ライダーが多数登場します。
そして、そのライダー役の俳優さんがイケメンぞろいだもんだから、子供につき合って見ていたお母さんがたの💓をがっちり摑むという、あらたな市場の開拓。
不思議な話なんですが文化って、新しいものを創る初代、そしてそれを継承する二代目。それだけだと、続かないんです。
それまでのものをぶっ壊す天才的な三代目がいないと、続かない。
以前博物館で見た「樂茶碗」展なんですが、とにかく三代目の作品がほんとぶっ飛んでて、え? これ江戸初期の茶碗のデザインなの?と驚いた記憶があります。
また、剣術では、柳生石舟斎から数えて孫にあたる柳生連也斎が天才であったため、尾張柳生は現在も残っています。
いっぽう同世代にあたる宗冬が凡庸であった江戸柳生は残っていません。
尾張の連也斎は、「突っ立ったる位」とか「
『仮面ライダー龍騎』はさいきん東映公式チャンネルで、続編が無料公開されています。
当時のキャストが集合し、続編ともいえるエピソードが製作されています。主題歌も松本梨香さんがちゃんと歌ってますよ! こういうところが東映さんは素晴らしい。
三作目にライダー同士のバトルロワイヤルという突飛なストーリーの『龍騎』をぶちこんだ平成仮面ライダー・シリーズは、令和になった今も続いているし、それはきっと、それまでの流れをぶち壊す『龍騎』があったからでしょう。
『仮面ライダー龍騎』は、主人公が途中で死んでしまうエンディングもあるんですが(そう、あのシンジが志田未来ちゃん守って死ぬパターンね)、じっさいにはいくつものエンディングが存在し、最後に生き残ったのが誰だか分かりづらい、つーかよく分からないという欠点もあります。
でも、仮面ライダーたちを殺し合わせるという強烈な展開の果て、最後に生き残ったもの。
それはもしかしたら、『平成仮面ライダー』というシリーズだったのかも知れません。
東映さん、コンテンツ育てるのうまいよなー。
という、脱線の果てに、デスゲーム小説の話にもどりますが。
ええ、ミラーワールドから室町時代まで脱線してきました。このエッセイは電ライナーかよ。
ということで、時の終着駅、デスゲームの話ですが。
今回の「デスゲーム・コンテスト」で募集しているのは、何人かが殺し合って最後に一人生き残るという『バトルロワイヤル』タイプなんでしょうかね?
クリアしないと死んでしまう『ソードアートオンライン』タイプではないのでしょうか?
『バトロワ』タイプは、どちらかというとグロテスクなキワ物という印象があります。
いっぽう、ホラーとして怖い物を書こうとすると、『SAО』タイプの方が書きやすい気がしますね。『リング』はこっちになると思うんです。
これ、どちらが求められてるんでしょうかね?
なんか要項読んでいると、怖い話はもとめられていない気がするんです。
つまり、一時期のホラー・ブームはすでに推移を開始していて、恐怖からグロテスクへのシフトが始まっているのかもしれません。
でも、『SAО』タイプならすぐ書けそうな気がするんです。
はい、そこは自己都合です。
逆に、『バトロワ』タイプで書くと、ぼくちゃん、バトル書くの好きなだけに変な方に行きそうで……。
さて、どっちを書くか……
スデニ書く気ニナッテイル
いっそ、両方書くか……。
ちょっといま悩んでます。
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