第161話 英数字と漢数字


 自主企画の参加条件に、たまに「行頭一字下げをしていること」なんてのがありますね。

 ぼくは小説はもちろん、エッセイでもレビューでも、行頭は一字下げしています。基本応援コメントでもしています。理由は読みやすくするためです。



 余談ですが、この行頭一字下げ、行頭スペースと言ってもいいんですけど、「ワード」で書いていると、勝手に一字下げをするようにタブ設定されて、これ結構ウザいですよね。

 ぼくは今は「WPSライター」という軽いソフトを使っているんですが、こちらはそういう便利な機能がなくて助かります。


 もしかしたら、この「ワード」の勝手にタブで一字下げ。

 書いた小説をそのままカクヨムに貼りつけると、一字下げされないって現象が起こったりしないんでしょうかね? そういったところが、ぼくが「ワード」をやめた理由のひとつなんですが。



 さて、今回のお話は、この一字下げではありません。

 自主企画で一字下げといっしょにたまに出てくる参加条件の「英数字と漢数字の表記を統一すること」の方です。これもたまに見ますよね。



 作中でつかわれる数字が英数字だったり漢数字だったりしたらいけないという話です。ぼくも昔はこれ、もっともなことだと思っていました。

 最初は原稿用紙、つぎにワープロソフトの縦書きで書いてきたからです。が、途中でぼくは小説を横書きで書き始めました。いろいろ理由はあるのですが、まず一番は、カクヨムが横書きだからです。


 そして、もうひとつ。パソコン画面では、横書きの方が見やすいからです。だって、画面が横長なんだもん。


 さらに、意外な発見もあります。電車の中でパソコンで文章を書こうとしたとき、縦書きだと酔います。横書きだと酔いません。これは昔から言われていることで、電車内だと横揺れするから横書きの方が読みやすいんですね。自動車だと縦揺れもするから厳しいけど。



 むかしは縦書きの書籍のために、縦書きで書いていました。

 が今は、横書きのカクヨムのために、横書きで書いています。となると、数字は漢数字より英数字の方がよくないですか? 常識的な話として。

 きっと校正の仕事とかしている人は、こういうことにうるさいと思うのですが、表記の統一はたしかに重要です。

 銃の安全装置を「セーフティー」だったり「セイフティー」だったりと表記していたらおかしいですね。


 が、疑問もあります。



 表記のルールとかそういううるさい話は抜きにしても、英数字で書いた方が見やすい場合もありますよね。そこを全部、漢数字か英数字で統一してしまったら、却って読みづらくならいかな?と思うのです。



 たとえば、よく出てくる文字数、十万文字。これは10万文字って表記がいちばん分かりやすい気がします。


 でも、10000円は一万円や1万円が見やすいですよね。

 「九千七百五十九円の支払いで一万円出した場合のお釣り、二百四十一円」という一文なら、絶対「9759円の支払いで1万円出した場合のお釣り、241円」が見やすい。



 では、「光の速度」は秒速三十万キロメートル? それとも秒速30万キロメートル? どちらが見やすいでしょう?


 ぼくなら、30万キロメートルを使います。


 たとえば、こんなセリフなら?


「光の速度は秒速三十万キロメートルだ。正確には二十九万九千七百九十二キロメートルだけどな」


 読むの、いやになりません? ぼくならこの数値、全部読みません。


「光の速度は秒速300000キロメートルだ。正確には299792キロメートルだけどな」


 これも分かりづらいですよね。でも、一応全部の数字に目は通します。が、300000はやはり30万が一番読みやすい。




 じゃあ、プランク定数はどう書きましょう。


「六・六二六〇七〇〇四の十のマイナス三十四乗ジュール秒だ」

 ですかね?



「6.62607004×1 -34 jsだ」

 が、わかりやすいと思うんですけれど、凄い字面のセリフになってますね。

 まあ、プランク定数なんて、どう足掻いても読みやすくなるわけないですけれど。


 ちなみに-34乗の表記ですが、0に対するルビにしています。ただしルビの内容が《全角スペース、半角- 半角数字の34》です。jsの前にも半角スペース入れて調整してます。

 カクヨムでは基本乗数の表記は出来ません。


 他にもまだまだ疑問があります。




「上空には多数の敵機が舞っていた。そのうちの八機が降下してくる。高度は五百メートルといったところか」


 空中戦を書いていて、こういう描写だと、ちょっと数字の感じがつかめません。そこでぼくは英数字を使いました。


「上空には多数の敵機が舞っていた。そのうちの8機が降下してくる。高度は500メートルといったところか」



 が、ここに別の表記を付け加えるとします。そこで問題が生じること、ありました。



「上空には多数の敵機が舞っていた。そのうちの8機が降下してくる。高度は500メートルといったところか。レーダーを見ると、さらに敵の増援が近づいている。数百機の大軍だ」


 高度500メートルは見やすいから選択しました。が、そのあと「数百機」と入れるとこれはもう表記がおかしいのは自分でも分かります。しかし「数100機」はもう日本語ではありません。

 表記ゆれ致し方なしで、ぼくは混用しました。



 まあ、ここはいいとしましょう。よくないかもしれないけど(笑)



 さらに、問題も出てきます。



 こんな描写はどうでしょう。


「気づいたら14人の敵に囲まれていた。こちらはぼく一人。たった一人でこの人数はつらい。あー、一人ぼっちはだから嫌なんだ。だれかぼくと一緒に来てくれればよかったのに」


 表記ゆれはあります。

 が。


「気づいたら14人の敵に囲まれていた。こちらはぼく1人。たった1人でこの人数はつらい。あー、1人ぼっちはだから嫌なんだ。だれかぼくと1緒に来てくれればよかったのに」


 こちらは「ぼく1人」は、怪しいですけれどぎりぎりありでしょう。が、「1人ぼっち」は日本語としておかしいですね。「1緒」はもう読めないレベルです。1瞬なんて書いてあるのか考えますね。慣れると読めるんでしょうか? なんかもう、こうなると1見さんお断りの世界です。




 ということを、実は前回空中戦を書いたときに苦労したんですよ。結果として選択したのが、表記の混用でした。もう混ぜるしかない。


 もともと英数字は、日本語ではない文字ですね。アラビア数字です。

 もっともそれは、行頭一字下げも、句点読点もそうですし、「」もそう。文末の?や!もしかりです。英文から輸入したものなのでしょう。

 それを日本語に取り込むにあたり、とくに小説表記としてのルールがいろいろ作られたのですが、これらの決まりがすこしあやふやだったりします。



 たとえば、セリフのカギ括弧。


「おはよう」


 というように、行頭一字下げはしません。が、古い書籍では一字下げをしているものもありました。


 また、長いセリフの途中で改行を入れる場合。『眼下の敵』のセリフ(あんまり長くないけれど)を例に説明しますと、



「急速潜行に5分、潜望鏡深度に達するのに3分、照準に2分かかるとして……。

 経験のある艦長なら、10分後に魚雷を発射するはずだ。着弾までに2分はかかるだろうから、11分後に舵をもどせ」



 今はこういう表記が一般的です。改行して一字下げ。

 が、昔読んだ文筆のテキストではこう書かれていました。

 改行して一字下げせず、行頭にカギ括弧を入れよ。つまりこうです。



「急速潜行に5分、潜望鏡深度に達するのに3分、照準に2分かかるとして……。

「経験のある艦長なら、10分後に魚雷を発射するはずだ。着弾までに2分はかかるだろうから、11分後に舵をもどせ」



 これが本来の正しい表記のはずですが、違和感ありまくりですね。ぼくも書籍でこれをやっているのは『レンズマン・シリーズ』以外で見たことがありません。つーか、『レンズマン』のセリフ、長いの多かったなぁ……。



 あと、よく見るこれ。



「「「おはよう」」」



 最近は書籍でも見ますが、ぼくはどうにも納得いきません。こういうの、ありになったんでしょうかね?



 前も書きましたが、じゃあサッカー小説ではどうするんだ?と。


「みんな、行くぞ!」

「「「「「「「「「おうっ!」」」」」」」」」


 これ、みなさん「」の数を数えてるんですかね? ちなみに、「」は9組しかありません。つまりサッカーは11人だから、1人やる気のない奴がいますよ!



 とまあ、今回は表記の話でした。もちろん今回も、これが正しいやり方ですとか断言する気はさらさらありません。どうなの、これ?という話に終始してます。


 問題提起だけして、放置する。さいきんそういうの多いです。






 あ、ついでに近況も書いておきます。


 まず「KAC」。あれぼくは参加しません。参加したこともありません。そもそも短篇苦手だしね。


 で、読むのも基本してません。ただし、面白そうなタイトルは読みに行きます。☆をつけたりもします。もし読んだとして、すごく面白かったら、レビュー書くかもしれませんが、稀なことだと思います。でも、一作書きました。



 プロットは、レンタルしたビデオ見たりしながら書いてます。『ときめき☆ハルマゲドン』の第5章は、大まかなプロットはだいたい出来上がりました。なので、ここから「面白さ」を入れる作業に入る予定。

 ええ。『とき☆ハゲ』って、プロット出来上がってから「面白さ」を入れてるんです。



 あと、暇な時間に小説自体も書いてます。ほんのちょっとずつですが。

 現在ちまちま書いているのは、もう2年くらいまえに書いていた「ラブコメ」。書くのが苦痛でやめてしまったんですが、暇なんで日課として書いています。プロットがあるところまで書いてそれで終了予定。基本的に習作になるので公開は未定です。



 そして、万年筆の話をひとつだけ。


 プロット書くのにつかっているプラチナの♯3776センチュリーの極細ですが、ネジ式のキャップをあけるたびに、ペン先にインクがこびりついているんですよ。

 まえはインク・コンバーターの不調のせいだと思ってたんですが、コンバーターを変えてもインクがこびりついている。しかも、キャップを開閉するたびにインクが増えていく怪現象。こんなこと今までなかったんですが……。


 で、ふと考えたんです。

 このプラチナの♯3776ですが、キャップをしめて1年放置していてもインクが乾かない「なんかすげーシステム」が搭載されているんです。で、キャップの中をのぞくと、つーか半透明なんで外から見えるんですが、なにやらスプリングとインナーキャップがあって、それでペン先部分を密閉しているご様子。


 ということは、この密閉式インナーキャップが、キャップ取る時スポンっ!となって、インクを吸い出しているんではないか? そう考えたわけですよ。(どーでもいいけど、「キャップ取る時スポンっ!となって」って、もうすこしマシな表現ないものか……)


 で、それからは、キャップを開ける時、すこしゆっくりネジって、インナーキャップのスポン!を抑えるようにしているんです。

 1年放置してもインクが乾かないっていうのは素晴らしいことなんですけれど、あのー、プラチナさん、ぼくはプロット毎日書くんで、そのシステム要らないんですが……。



 あ、あとですね、上記のように!を文末に使わないときは、スペース入れなくていいはずですよ。

 たぶん!ですけどね。


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