第112話 カクヨムWeb小説コンテストが求めるもの
カクヨムWEB小説コンテスト。落ちた方たくさんいると思います。ぼくも落ちました。
ただ、ジャンルによっては、該当作なしだったりしたので、単純な面白さだけではなく、レーベルとして求めている形があるのだと思います。
ぼくはこの手の分析は不得手なのですが、ぼくなりに考察してみようかな?と思いました。
まず、角川書店は、コンテンツを育てるのが下手です。
たとえば、集英社の少年ジャンプなんかは、すべて自誌でデビューさせた新人に大ヒット作を書かせています。
が、角川書店はどうでしょう。
あの名作『リング』の続編は駄目でした。ぼくは読んでいませんが、文学好きの友人は「あれは編集部がストップかけなくちゃダメだな」という出来だと評価していました。
スニーカー大賞をとった『涼宮ハルヒの憂鬱』の二巻も酷かったです。
登場人物がみんなで自主映画を撮る話なのですが、これ、アニメ化されていません。エピソード・ゼロとして、そのとき撮った映画が第一話のまえに放映されました。
これはもう、アニメ化した天才的監督のシュールなギャグとしか思えません。
また、アニメの大ヒットで一躍人気コンテンツとなった『涼宮ハルヒ』ですが、第二期のアニメがあまりにも酷かったため、ファンから総スカンをくらい、その息の根は止まりました。そのあとの長編の映画化が果たしてヒットしかたかどうか、ぼくは知りません。
スニーカー文庫で出ている『機動戦士ガンダム』の小説シリーズ。続編があったり外伝があったり、これは成功しているといえます。
が、小説版『機動戦士ガンダム』は、もともと他社から刊行されていました。それをアニメのガンダムの続編『機動戦士ゼータガンダム』の放映にあわせてスニーカー文庫にもってきて発売させ、アニメ誌として『ニュータイプ』を刊行しました。
このガンダムというコンテンツに関しては、成功していますし、角川書店の功績は大きいです。
が、ガンダムは角川が生み出したコンテンツではありません。悪い言い方をすれば、人気が出たから買ってきたコンテンツといえるでしょう。
ちなみに、もう何十年もまえのことですが(笑)
いまはどうだか知りませんが、当時は原稿を小説として出版しようとする場合ふたつの方法がありました。
「投稿」と「持ち込み」です。投稿はいまと同じ。持ち込みは、出版社へ直接原稿を持ち込むことをいいます。
で、これ、ぼくは何度かやってみたことがあります。
角川書店は門前払いでした。
「うちはやっていません。ほかの出版社もやっていないと思いますよ」
ご丁寧に他社さんのことまで教えてくれました。
そのあと、集英社にもっていきました。
集英社での「持ち込み」に対する扱いはVIP待遇でした。編集部の人がわざわざ下まで来てくれて、原稿を預かり、後日短い講評をくれました。長編だったので、全部読んだわけでもないでしょうが、多少なりとも読まないと語れないことがきちんと指摘されていました。
集英社の『少年ジャンプ』は、新人から作家を育て、その作家たちが世界的な大ヒットとなるようなスーパー・コンテンツを創り出しています。
他社から買ってくるようなことは全くしていません。
企業の、こういう体質というものは、なかなか変わりません。
さて、最初の話にもどしましょう。
カクヨムの、すなわち角川の編集部で求められているものは、どんな作品でしょうか。
それは、『〇〇みたいな作品』ではないでしょうか?
〇〇には、さいきんヒットした作品を入れてください。
カクヨムのWEBコンテストで入選する作品は、『「最近ヒットした作品」みたいな作品』なのではないでしょうか。
つまり、これは面白いから絶対売れるとか、きっと次はこんな作品がくるとかではなく、こんなのが売れているから、うちでも真似して出そうよ、みたいなスタンスで選考されているのではないでしょうか。
まあ、商売としては、手堅いですね。
ちなみに。
ある企業の特徴を知りたいと思ったら、おすすめの方法があります。それは、社訓を見ることです。そこには、じつは企業の弱い部分が記されています。
ぼくがむかし務めた会社の社訓には「人の話を聞く」というのがありました。笑っちゃう社訓ですが、その企業の社長は、ほんと社員の話を聞かない人でした。
人と人との関係は、まるで鏡です。人の話を聞かない人は、他人が自分の話を聞かないものだと感じています。その社長は、社員に「人の話を聞け!」とその社訓を立てたのでしょうが、裏を返せば、自分が社員の話をまったく聞かない経営者だったのです。
人が自分の話を聞いてくれないのは、その人が人の話を聞かないからなのです。
そして、角川書店の社訓は、「不易流行」です。
不易は不変を意味します。流行は流行りです。「不易流行」とは、そのふたつを合わせたものです。不変なもののなかに流行を見つけろということです。
つまり、カクヨムは、それが苦手ということです。「不易流行」が苦手だから、社訓にしているのです。
今流行っているものを刹那的に追いかけているだけ。他で売れているから、似たようなものを出す。時代にとらわれない不変なものから、いまの時代の流行の風を読むということは出来ず、いま流行っているものを慌てて追いかける。
でも、いま流行っているということは、すでに流行りは終わり始めているのではないでしょうか。
いずれにしろ、結論を出しましょう。
以上のことから、つぎのカクヨムWEBコンテストで狙うべきは、『「鬼滅の刃」みたいな作品』だと思います。
もっとも、書籍化される頃には、流行りは終わっていると思いますが。
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