第89話 平成仮面ライダーを浅く語る➄『仮面ライダー アギト』
『仮面ライダー アギト』は、平成仮面ライダーの二作目になります。『クウガ』の後番組ですね。年代としては、2001年。
名作『クウガ』のあとを引き継ぎ、良いものは残し、新しいものを取り入れて作られたのが本作。この第2作が大コケしなかったことで、第3作目の『龍騎』でぶっとんだ展開ができたと言えるかれしれません。
一応世界観としては、『クウガ』に出てきた未確認生物「グロンギ」が殲滅されたあとの話ということですが、「グロンギ」や「クウガ」という単語はたしか出てこなかったと思うので、特撮お得意の、繋がっているような繋がっていないような世界観です。あるいは機密となっている設定かもしれません。
本作は冒頭から3人のライダーが出てきます。
①アギト
記憶喪失の主人公津上翔一が変身する、強くて格好いいい、完成形のライダーです。姿かたちも、クウガをパワーアップした感じの、ちょっと神様テイストのデザインです。
主人公・津上翔一は、賀集利樹さんが演じています。賀集さんは、のちに『仮面ライダー ジオウ』にも津上翔一役で出演してくれました。
➁ギルス
なにか突然に身体が異常をきたし、何物かに進化してしまったような、そんな感じのライダー・ギルス。容姿も怪物じみていて不気味です。物語の本編に絡むというより、アウトサイダー的な立ち位置でした。
演じた友井雄亮さんは、のちにタイムピンクの勝村美香さん(ファイズの木場くんの元婚約者も演じてました)と結婚して離婚したり、『純烈』のメンバーとして紅白歌合戦にでたり、その直後に女性問題が発覚して芸能界引退したりと大騒ぎを起こした人ですが、ギルスは別に好きでもないから個人的にはどうでもいいです。
ちなみに、『純烈』ですが、その他のメンバーには、仮面ライダー・ゾルダ(龍騎)、ガオブラック(ガオレンジャー)、カブトライジャー(ハリケンジャー)がいます。
➂G3
警察のパワードスーツ的な仮面ライダーです。一応スペック的には未確認生物より高い戦闘力をもっているはずなんですが、新しく現れた未確認生物『アンノウン』には全く歯が立ちません。
演じたのは要潤さん。役の上でも香川県警出身となっています。
物語は、ある日海岸に漂着した謎の物体──表面に複雑な歯車が嵌まった開封不能な箱『オーパーツ』──が作動開始することからスタートします。『オーパーツ』の作動に応じて起こる不思議な事件。闇に紛れて人を襲う不気味な怪物アンノウン。そしてそれを神がかり的な強さで殲滅してゆく謎の存在アギト。
そこへ過去に瀬戸内海で起きた「あかつき号」事件が絡み、謎が謎を呼ぶ展開が最後まで視聴者を飽きさせません。
また、当時はライダーにヒロインというポジションというものは明確にはなかったのですが、本作ではそれらしい位置に秋山莉奈さん(のちの『電王』のナオミ)がいます。
また謎の少年としてたまに出る神木隆之介くん(アバレンジャーのトリケラの人間体)や、もう一人の津上翔一役で小川敦史さん(『超光戦士シャンゼリオン』の黒岩)と、ゲストもなかなかです。
とくに、『電王』のナオミ役でライダー映画に何度も出演されている秋山莉奈さんですが、のちの『ジオウ』ではなんと『アギト』の真魚役で出てくれております。わーい、そっちか!
ぼくは『アギト』を観たときはもう、いい大人だったのです。しかもリアルタイムで観ていません。何年もたってから全話観ました。
よって、これをリアルタイムで観た子供たちとはもちろん、大人たちともかなり目線が違うと思います。子供たちの間では、あの強くて格好いいアギトが人気だったと思うのですが、きっと当時のおっきいお兄さんたちを興奮させたライダーは、アギトではなかった思います。リアルタイム時に観ていないので、単なる推測ですが。
この『仮面ライダー アギト』。
大人が見ると、もうG3の格好良さに、鳥肌立つんです。
要潤さん演じる氷川誠。彼は警察官で、特殊部隊に所属し、パワードスーツG3を着用してアンノウンに挑むんですが、そのスーツの性能が敵の未確認生物の戦闘力に遠く及ばない。
つまり、敵の方が強いんです。
なもんで、毎回敵にボコられ、アギトに助けてもらうという展開。ですが、彼。絶対に引かないんです。何度やられても、ボロボロになりながら立ち上がり、逃げたり諦めたりは絶対にしない。もうその後ろ姿が、涙出るくらい格好いいんです。
本作の評価は、『クウガ』より低いと思います。それくらい『クウガ』は良かった。が、決して出来の悪い作品ではありませんでした。そして、第3作のぶっとんだ名作『龍騎』へバトンを渡すという重要な仕事を果たしました。
結局本作がなければ、平成ライダー・シリーズはこんなには続かなかったでしょう。戦隊もののように、2作目でいったん打ち切りという二の舞を踏んでいたにちがいありません。
見落とされがちですが、案外名作で、そしてとても重要な作品といえるでしょう。
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