第39話 平成仮面ライダーを浅く語る④『仮面ライダー ファイズ』


 平成ライダーシリーズ三作目、「仮面ライダー ファイズ」。順番どおりに語る気はさらさらないのですが、ちょっと前後した語りになりましたね。


 本作は「仮面ライダー 555ファイズ」とも表記されます。「仮面ライダー 

ゴーゴーゴー」という企画があったらしいですが、この「555」、ぼくはてっきり当時流行ったハリウッド映画で使用される電話番号ネタからだと思ってました。


 ハリウッド映画では、劇中で使用される電話番号へじっさいに掛ける人がいたら困るという理由で、局番に「555」が使用されます。アメリカでは、局番555はドラマ・映画用に確保されていて実際には使われていない局番なんだそうです。


 で、「仮面ライダー ファイズ」では、ファイズに変身するとき、携帯電話へこの「555」が打ち込まれるので、子供がいたずらしないようにかな?と思ってました。日本じゃ関係ないんだけど……。



 作中で、ファイズに変身するためのアイテムはファイズギアと呼ばれ、ベルトと変身アイテムの携帯電話、武器としてのデジカメ、強化アイテムとしてのデジタル時計とか、いろいろでてきます。基本ファイズはメカニカルなライダーです。


 で、敵は「オルフェノク」といいます。

 これは、一度死んだ人間が、ごくまれに、オルフェノクとして甦ってしまうという設定。このオルフェノクは人間を餌とし、また人間をオルフェノクにすることもできます。


 そして本作の特徴は、なんといっても、人間とオルフェノク、そして両者の共存を模索するオルフェノクのグループという、三つ巴のドラマです。


 また、ライダーシステムは、ただの道具であり、敵がつかえばライダーは敵となります。ファイズギアも、なんどか敵に奪われ、オルフェノクが変身したファイズが、罪もないオルフェノクを殺しまくります。ライダーは、オルフェノクを殺すための道具なのです。


 主人公乾巧いぬい たくみは、クリーニング屋に居候するちゃらんぽらんなイケメンです。たいして正義感もないし、理想も夢もない。なぜか猫舌。

 演ずるは、半田健人さん。当時は、ちょっと俳優の木村拓哉さんに似てたんで、「イヌイ タクミ」を略して「イヌタク」と呼ばれてました。


 で、2号ライダーのカイザこと草加雅人、演じるは村上幸平さん。村上さんは、他にも「キューティーハニー」や「ジュウオウジャー」なんかにも出演されていて、特撮界隈じゃあおなじみです。役柄であるこの草加が、ライダーなのに、本っ当に嫌なやつなんですよ。

 正義のヒーローであるにもかかわらず嫌な奴、を好演されてました。



 また、人間とオルフェノクの共存を模索するチームの、リーダー、ホースオルフェノクことウマフェノク(木場勇治)を演じたのは泉政行さん。若くして病死されましたが、彼が演じた木場が、怪人なのに信用できる好漢というね。


 そして、同じ仲間のスネークオルフェノクことヘビフェノク(海堂直也)を演じたのは、唐橋充さん。唐橋さんは、このあと「侍戦隊シンケンジャー」の敵幹部も好演されてました。また、「仮面ライダー カブト」のオープニングにちらりと映る、メルヘンなイラストは唐橋さんが描いているそうです。


 ちなみに、のちに唐橋さんは女優の水野美紀さんとご結婚されて、たまに水野さんがバラエティーに出たときなんかに、ちらりと写真でご主人こと唐橋さんが映ったりすると、「水野美紀はいいから、唐橋充を出せ!」とティム・レイばりに画面に叫んでいるのは、ぼくだけではないはず。



 そして、敵側には「ラッキークローバー」という4人の幹部がいるんです。


 そのうちわけが、エビ、ムカデ、ワニでした。最後の一匹は未登場だったんですが、もうこの段階でネット上ではすでに、「キカイダー01」のハカイダー4人衆にひっかけて、ぜったい4人目はドラゴンだと盛り上がっていました。もちろん、ドラゴンでした。



 また、ぼくは最初気づかなかったのですが、近年俳優の綾野剛さんが、むかしライダーに怪人役で出ていたとか聞きまして、「はあ?」とか思っていたんですが、のちにそれが沢田(作中の名前)だと知り、「えっ、綾野剛って沢田か!」、「沢田なのかっ!」と気づき、とたんにぼくの中で綾野剛さんの好感度が三倍くらいにあがったというエピソードもあります。


 また本作ヒロイン園田真理役の芳賀優里亜さんは、当時はネット上で「プニ」と呼ばれており、のちに「仮面ライダー キバ」にも準レギュラーで出演されています。


 ファイズは、観ていた当時は、なんかご都合主義的な展開が好きでない作品だったのですが、後年再視聴たら、けっこうドラマが良かったですね。人間の弱さとか、善悪の入れ替わりとかがかなり細かく描かれています。


 ただし、巧が居候するクリーニング屋の配達用軽自動車の、オルフェノクへの遭遇率の異様な高さとか、ライダーのベルトが随分外れやすい仕様とかは、当時も結構つっこまれていました。



 ちなみに、本作の映画は、めちゃくちゃ面白いです、たぶん本編よりも。いえ、個人的見解ですが。



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