第8話 アニメ「ガンゲイル・オンライン」
ちょっ前になりますが、アニメ「ガンゲイル・オンライン」を毎週見てました。
正式名称は「ソードアート・オンライン・オルタナティブ ガンゲイル・オンライン」という、ちょーっと長いタイトルです。
これはそもそも川原礫さんという人が書いたライトノベルの「ソードアート・オンライン」という作品の中に『ガンゲイル・オンライン』というVRゲームが出てくるんですが、その設定を使って別の作家の時雨沢恵一さんという人がオリジナルの話を書いているんです。
で、ぼくは原作小説は読んでないんですが、そのアニメ化作品「ソードアート・オンライン・オルタナティブ ガンゲイル・オンライン」を観たわけです。
作中に出てくる「ガンゲイル・オンライン」は、VRゲームでして、世界観としては各プレイヤーが銃で撃ち合い戦うというもの。もちろんモンスターを銃で倒すなんてクエストもあるみたいですが、作中メインとなるのは、銃撃戦の公式戦でした。
で、ちょっと面白いのは、オリジナルの「ソードアート・オンライン」を書かれた川原礫氏は、銃器に詳しくない。原作小説には、コルト・ガバメントのサム・セイフティーとグリップ・セイフティーをかけて相手に渡すなんていう謎な描写が出てきます。
これは、ちょっと説明すると、コルト・ガバメント、いわゆる「ルパン三世」で銭形警部がつかっている拳銃なんですが、セイフティーすなわち安全装置が二つついてます。
ひとつは、サム・セイフティーといって、親指で上げたり下げたりして操作する安全装置。もうひとつが、グリップ・セイフティーといって、銃把についたでっぱりなんですが、これはグリップをつかむと自然とへっこんで解除されます。つまり、わざわざ掛けなくても、手を離せば勝手に掛かっちゃうセイフティーなんですね。
一方、オルタナティブを書かれた時雨沢恵一氏は、こちらは銃にとてもお詳しい。オルタナティブの方の「ガンゲイル・オンライン」に登場させた銃器は、ファンがコスプレできるようにトイガンが発売されているものをわざわざ選んでいるということでした。
で、この『ガンゲイル・オンライン』というゲームなんですが、いろいろゲーム的な設定がありまして、持っている銃器を向けてトリガーに指をかけると、バレット・サークルっていうグリーンの円が表示されるんです。で、銃弾はこの円内にランダムで着弾するというゲーム・システムで、これはもともとの作者である川原氏がつくった設定なんですが、これを時雨沢氏もそのまま使用してます。
が、これが、銃器の素人の川原氏と、銃器に詳しい時雨沢氏では、解釈がまったく違う。というより、実銃のことをよく分かってない川原氏の考えた設定をそのまま使って、銃器のことをよく分かっている時雨沢氏が上手に解釈を変えているんです。ああ、見事だなぁ、と感心しました。
ゲームに出てくる銃器というと、有名なとこでは「モンスター・ハンター」のボウガンがありますね。
このボウガン。たとえばスコープを使用してターゲットを狙い、撃つとします。すると弾丸はクロスゲージの中央、狙った場所に正確に着弾します。が、これ、実際にはまずありえないことなんです。
銃の弾ってものは、ほんとうに当たらないんです。よーく狙って慎重にトリガーを引いても、なかなか当たらない。シューティング・レンジで10メートルくらい先の的を狙って拳銃を撃っても、もうほんと当たらないです。銃とはそういうものです。
ところが、ゲームの銃しか知らない川原氏は、弾が当たったら敵が倒れるのだから、先に撃った方が絶対勝ってしまう。そこで、『バレット・サークル』という設定を与えて、グリーンの円の中に、弾はランダムに飛んでいくというゲーム上の設定をつくりました。
つまり、わざと弾が外れる設定を加えているのです。
で、このバレット・サークルは脈拍に応じて大きくなったり小さくなったりする設定にして、上手いプレイヤーはこのサークルが小さくなった瞬間に射撃するのだということにしました。苦労してますね(笑)。
ところが現実には、銃の弾は、もうほんとびっくりするくらい狙ったところに飛んでいきません。
そのことをよく知っている時雨沢氏は、これをまったく逆に解釈し、プレイヤーのアシスト・システムなのだと解説しました。
つまり、素人が撃っても、とりあえずサークルの中には着弾してくれるのだ、と。
いやー、うまいよなぁ。
そうなんです。素人が撃ったら、弾なんて敵に滅多に当たりません。そこで、とりあえずサークル内には集弾されるという救済システムにしたんです。
まったくおんなじ設定を、その解釈を変えるだけで、一発でそのゲーム世界をリアルなものにしてしまった時雨沢氏には敬服いたします。
で、アニメの内容なんですが、なんか第1話のセリフで、「P級銃では、無理だ」みたいな会話がありまして、え? 銃にランクがA級からあって、主人公の銃はP級か!とびっくりしたんですが、よく見たら持っている銃の種類がP90ってやつでした。
で、毎週楽しみに視聴していたんですが、なんか10話くらいで終わってしまって……。
職場のアニメ好きの女の子クドウちゃんに聞いたんですよ。
「いまのアニメってあんなにすぐに終わっちゃうの?」って。
「ワンクール、10話ですからね」とクールに返されました。
で、さらにちょっと、書き手としてのぼくは興味があってクドウちゃんに、あのアニメの登場人物について質問してみたんです。
「〇〇さんの正体って、どこで気づいた?」
これは作中の登場人物の正体が謎に包まれていて、それが最終回で明かされるわけなんですが……。
「最後まで気づきませんでした」
「え? そうなの?」
ちなみにぼくは、第1話の冒頭、それも最初のセリフで「おやおや?」とだいたいの当たりをつけていました。
もっとも、これは、ぼくが小説を書く人だから、……ではなくて、ぼくが書いた小説と、軽くネタが被ってるだけだったんですけどねっ!
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