第2話 というわけで、新しい万年筆を買いました



 え? どういうわけかって?


 もちろんプロットを書くためです。



 ぼくは昔から、小説のプロットとか設定とかは、ファンシーノートって昔はいったんですが、いまでもありますね、あの可愛いイラスト柄のノート、あれに書いてます。ふつうのノートと区別して、表紙だけでどの作品か分かるようにするためです。


 で、ずーっとこのノートに、シャープペンシルで登場人物の名前やら、機体名やらを書き込んでいたんです。

 むかしはきちんとプロット的なあらすじも書いていて、ここでだれが何して、ここでどういうセリフ言って、みたいな細かい書き込みがありましたが、カクヨムにくる少し前くらいから、細かいプロットというものは書かなくなりました。もちろん、頭の中でだいたいの話は組み立ててありまして、そのイメージで書きます。が、いちいちノートには書いていないんです。


 が、つぎの作品、すこし話が複雑でして、久しぶりにきっちりプロットを組まないと無理だな、と思いました。


 プロットというものを話のあらすじと捉えている人もいると思いますが、ぼくの考えは違います。プロットとは、物語を形作るシステムです。が、長くなるので、これは今度にします。



 で、ふと思い立って、今回のプロット、いつものファンシーノート(じつは未使用のストックが山ほどある)に書き込む際に、万年筆を使用してみたんです。

 いつも持ち歩いていて、メモ書きするのに使っている万年筆なんですが、1000円くらいの安い奴です。

 ところがですね、これがいいんです。


 プロットが進む進む。たちまちノートの半分くらい書いちゃいました。いつもは長編でも数ページですね。この前書いた『電動マッッッハ!!!」が8万文字ですが、使用したノートのページは全部で5ページ。うち2ページがコースの地図ですから、実質3ページだけで、キャラクターの名前からマシンの種類まで納まっている計算です。そして、あらすじについて触れた文は1行もありません。


 が、今回は、ぼくとしてはかなりきっちり書きました。あんまりきっちり書くと、そこに縛られちゃうんで、それでもかなりいい加減なんですが。


 で、こんなに書くんなら、もうちょっとしっかりした万年筆を買おうと思ったんです。


 いま使っているのが1000円だから、3000円くらいのやつを。

 いまの万年筆は完全クリア・ボディーの内部メカとかインクの色とかが見えるタイプなんですが、おんなじようなやつで、新しいのを買いました。インクも、パープルではなく、「空色」。


 いますごいですね。パイロット社はいろんな色のインクを出してまして、ぼくはそのうちの「空色」「紺碧」「孔雀」と買ったんですが、「孔雀」なんてグリーンですよ。

 他社では「ミクサブル・インク」というのもあって、これはなんと、いろんな色のインクを混ぜてオリジナルのカラーが作れちゃうらしいです。



 で、新型の万年筆に、美しいブルーのインクを装填しまして、プロットを書き始めたんですよ!


 ……なんか違うんですね(笑)。書き味と色が。


 書き味は1000円の万年筆の方がいいんです。これには理由があります。万年筆って書いていると、そのひとの癖をおぼえて、ペン先がその形状になるんです。1000円とはいえ、ノート半分以上も書きまくったペンは、ぼくにとってはもう1000円以上の価値がある手になじんだ道具なんです。



 そして、もうひとつ、インクの色。

 色見本で見た時は、綺麗な色だと思ったんですが、白い紙面に書いてみると、なんか違う。これはインクの色を変えることに即決しました。ちなみに万年筆のインクの色を変えるのは、ちょっとメンテナンスが大変なんですが。



 小説を書くには、まずその環境が大事ですね。書こうと思ったら、自分のスタイル、合った環境を整えないとならないです。でも、プロットも、書くのに環境が大事なんだなぁ。まあ、ぼくの場合おもに、インクの色なんですが……。



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