第八話 犬
名はあまり思い出しとうない。
またこの地も
ただ一つの母も何者かに
その何者かは岩の牢に入れられておるらしいのだが、そこにはいくつもの
何日、
どの程経ったか、しかしこの感覚では長く感じられた。
己も
岩の牢の
しかしまるで慣れておるかのように、
ふっと風が通った時、何者かわからぬが、懐かしい声が息が耳に届いた気がしたのだ。
それきり、
一瞬であった。
死の
そこに見えた者は、
そやつの手は元より、血でボロボロであった。
泣きつつ走るそやつは、何かを呟いておるのだが、
しかし、何度も唱えておる。
翌朝、
「さようなら。」
その瞬間、
その時、見えたそやつは、まるで別人の様に、桜の木の下で舞い狂っておった。
その舞いは、とても悲しくさせる舞いで、身の血を桜の花弁と共に散らしておった。
それを最後に、
それであれど、しっかと心に抱いておったのだ。
別れの言葉が、誰のモノで、誰が受け取るモノだったのかを。
そして、あやつが誰であったのか………も。
上手く繋げる手さえあれば、きっとあのような事にはならなかったのだ。
大切なモノを失って泣くのであれば、最初から大切にしておれば良いと申せど、それが大切だと気付くのも失った
しかし、涙を流してくれる者が
もうすぐ
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