第六話 馬
名は記憶に残らぬ程のものであっただろう。
ある時、
その怪我は、医者が申すに
その三月の間、その怪我のせいで上手く動けぬことに苦しさを覚えた。
スポーツとやらに手を伸ばしても、思うようには動いてくれず、どうしたものかと何度も思うた。
次第に、それを理由に参加も拒むようになったのだ。
出来ぬことを怪我のせいだと、そしてその怪我を負った原因を責め続けた。
しかしその原因が自身なのだから、悔しくて涙も流した時もあり、周囲を困らせてしまっていた。
ある
その繰り返しではございまするが、
誰かの声が無ければ今頃、どうなっていたかと思う程にございまする。
「弱い。」
と。
しかし、それは
あやつは、寧ろそれで立てるのなら、と笑むのだが、その強弱は何なのかはわからぬ。
やっと怪我が治った
しかし心に
苦手としておる物事だ。
どうにも上手く出来ぬ事に、イライラとしてしまうのだ。
最後には投げ捨てて、自身には出来ぬのだとやることさえ止めてしまった。
楽しくもない面倒なことを、誰がやるものかなどと小石を蹴って逃れておれば、はたと気付いたのだ。
苦手としておるものは、それを得意としておる者がすれば
ふとその時、脳内に
はて、このように背が足りぬと思うことは……。
その世の内では、見つける事は叶わなかったのだ。
これほどまでに、誰かという存在は大切なモノなのだとよう思うのでな。
あやつが
あやつが何かを補ってくれ、あやつの何かを補って生きる……。
茶も残らぬな。
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