第三世
第五話 鴉
ここに
名は何と申すのか、知らずとも
この
その性格には息苦しい事だったのですが、片方の翼が折れ、思うようには動けぬのです。
出来ない自身を何度も責め、悔し涙を抑えることが多々ありました。
今やその翼さえ見せぬが
苦の不滅をどう見やろうかとさえ苦にするをどう見ようとするでしょうか…
他より不利を生きるのは、どうしても歪んでしまうモノもあるというもので。
そうそう、丁度
しかし、
自身が沈んでしまった後の、立ち上がり方を心得ておる、というだけのことですが、周囲に心を
ああ、なんて馬鹿らしいのでしょうか……と。
その分、甘味は嫌いになってしまいました。
ある日、周囲の者と共に、スポーツとやらに手を伸ばしました。
一羽不利であっても、それを理由に逃げようなぞ、何処の甘味にございましょうか。
折れた片翼で必死にもがくが
して、結果はやはりと想像もつくでしょう。
深い悔し涙を呑み込み、口角を上げまして、周囲の者から遠く離れておりますると、大人一人が
「(来るな。)」
ただそう願えどもその足止まらず。
その者申すには、甘味であった。
何故って?
先ほど止めた涙がじわりじわりと浮かび、止まらなくなるのですから。
嗚呼、思い出すと息苦しい……あんた様にゃわかりませんよねぇ?
いやいや、
「(要らない。)」
許されない……許せない……。
まるで恐れて踏み留まるように。
「強い。」
と。
しかし、
他人の言葉で寧ろ立てなくなる性格なので、他人の優しさを無駄にする事も多いので、顔だけしっかり演じておくのです。
それで
それからどうなったのかって?
あまり良くは無い話、
何がそうさせたのか、おわかりでしょう?
この息も難しい世の中で、休まる心は
いくら
なかなかその首、吊ることが出来ずにとうとうその縄を外してしまいました。
聞いた甘味が後から後から胃を満たし、迷子になった心は答えを求めるのみ。
生き物には必ず一つ一つ、出来ぬ事が存在しますが、そこでやっと
もう二度と、死のうという心を持つこともなく、
この甘味、
今更の事ながら、問うや声やと申しましたが、春夏秋冬には関係の無かったこと。
『ただ一つを見るのみは盲目』と。
探し物は見つかりそうにありませんが。
何せあんた様へ申しながら、懐かしさのあまり心が重くなりつつありましたから。
ささ、もう少々参りましょう……。
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