第一世
第一話 猿
ここに
名は何と申すのか、それは
子の時からとても頭の賢く、何でも器用にこなす者でした。
今や
今が過去へと変わるのに、何が必要だったと言うのでしょうか……
「なぁ、
「賭け?」
「テメェに賭けるモノはあるのか?」
「さぁて、何を賭けましょうかねぇ?時間、とでも言ってみましょっか?」
何を意味のわからぬことをと首まで傾げさせて、
「俺の首が飛ぶか、あんたの首が飛ぶのか、予想を当ててみましょうか。きっとあんたの首が飛ぶと思うけれどね。」
トントンッと自身の首を手の側面で叩きながら、嫌な目を見せつける。
あぁ、不快な事この上ない。
「それじゃ、テメェの首が先に飛ぶと予想しとくぜ。」
苛立ちを声に出しながら、彼はそう
彼は
「お互い時間を賭けて…勝った方には
「テメェの言ってる事は毎度わからねぇ。」
「どちらが先に死ぬのかって賭けだから、首さえ飛ばなけりゃいいってもんでもないけど、どうせなら首は飛ばされたくないね。」
話を合わせる気も無いようで、教える言葉も残さずにそう言って、いつの間にか姿を消していた。
彼は溜め息を
「成る程。」
興味を惹かれるわけでもなく、そうとだけ返答を寄越す。
その賭けから三年経ったが、彼も
しかしこの話を知る者は増え、気に留める者も居る。
彼にも守るべきモノが
その間に戦が何度あるのだろうか?
その時は今まさに。
雑音が響くこの
地に落ちて、赤は並んだまま
「あの世は……どんな所であろうか………?」
「……どんな所だとしても…俺はあんたと共に。」
目を閉じたのは同時だった。
赤がもう一つ散り落ちた。
戦が終わり、一年経った秋の地。
あの話が再び流れた。
「あの賭けは、結局どうなったんだ?」
「あぁ、アイツは賭けには勝ったが、勝負には負けたんだ。」
守るべきお人の
意味がわからぬと言うつもりなら、秋の
『最初から結果はわかっていた』と。
そんな事はどうでもいいんですよ。
最期まで、どう生きましょうね?
さぁ、お次は…
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