170 メテオラ
メテオラ
「モリー先生!!」
同時にそう叫んだメテオラはモリー先生の元に向かって、足場のなくなったぽっかりと開いた円形の空間の中に飛び出した。
モリー先生はステンドグラスを割るのと同時に、その意識を失っていた。本当に魔法力を使い果たしたのだ。
……まったく。なんて無謀なことをする人なんでしょう。まるでマグお姉ちゃんみたいです、と気絶しながら空の中を落ちていくモリー先生を見て、メテオラは思った。
このとき、メテオラの意識の世界はなぜかとてもゆっくりとした時間の中で動いていた。
割れたステンドグラスのかけらの中で、モリー先生の様子を確認したあとで、メテオラが背後を見ると、そこには目を覚ましたニコラス、アネット、シャルロットがいた。三人はとても驚いた表情でメテオラを見ていた。
まあ、それはそうだろう、とメテオラは思った。
ぎゃくの立場ならメテオラだってそんな顔をするはずだ。
三人の近くにいる魔法学校の先生たちはさすがに冷静だった。その中でマグお姉ちゃんはすでに魔法の杖に乗っかって、飛行術の態勢に入っていた。
そんなマグお姉ちゃんの姿を見て、さすがマグお姉ちゃんだ、とメテオラは思い、なんだかとても嬉しくなった。
十二階まで落ちると、そこにはマシューとデボラたちがいた。
そこには捕まったべべさんもいて、それから初めて見るけど、おそらくワルプルギスさんだと思われる女性の魔法使いさんもいた。みんな十三階に移動できなくて、十二階で足止めを食らっていたようだ。
メテオラが十三階に行けたのは、今思い返してみると、きっとアスファロットが故意にそうしたことなのだろう。
初めからメテオラはアスファロットの罠にかかっていたのかもしれない。
アスファロットがメテオラの前に姿をあらわしたのは、この十三階にある封印の間にメテオラを誘い込むための餌だったのかもしれないとメテオラは思った。
……きっとあの禁断の箱がある場所でないとできないなにかがあったのだろう。あるいは、アスファロットが本当に力を行使できるのは現在のところ、箱のある部屋、あるいはその周辺に限られているのかもしれない。
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