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そこにはたくさんの魔法学校の先生たちが壁に寄りかかったり、通路に倒れるようにして、ニコラスたち三人と同じようにぐっすりと眠り続けていた。
まず十三階の見回りをしていた黄金の民の一人であるニケー先生、それからメテオラが上の階に移動するのを目撃した魔法学校孤児院の院長をしているパーシー先生、それに魔法学校の中でもとくに戦闘術に長けている、戦闘魔法術の専門家であり、またマグお姉ちゃんやソマリお兄ちゃんの幼馴染でもある、ホロ先生。魔法数学の第一人者、メイスン先生。魔法学校の副校長でもあり、魔眼と呼ばれる特殊な能力を遺伝的に持っている、とても優しいメイプル先生。
……そしてそこには、メテオラのお姉ちゃんであり、飛行術の天才でもある、マグお姉ちゃんの姿もあった。
「マグお姉ちゃん」
メテオラは通路の真ん中に倒れているマグお姉ちゃんの元に駆け寄った。
声をかけたり、体を揺すったりしたが、ニコラスたちと同様に、マグお姉ちゃんはまったく起きる気配を見せなかった。
メテオラはほかの先生たちにも同じように声をかけたり、体を揺すったりしたのだけど、みんな反応は同じだった。
「……どうしましょう?」メテオラは困った。
そのとき、ぎーという小さな音がした。
音のしたほうを見ると、メテオラはとても驚いた。遠くからではわからなかったけど、なんと開かずの扉が、かすかにだけど、確かに開いていたのだ。
……なぜか、警報もなっていない。
メテオラがじっとその隙間を見つめていると、そこから一匹の黄金色の毛並みをした猫があらわれた。
その猫のことをメテオラはよく知っていた。
それはソマリお兄ちゃんの使い魔であるスフィンクスだった。
スフィンクスは怪我をしていて、全身がぼろぼろだった。
「スフィンクス! どうしたの? 誰にやられたの?」メテオラはスフィンクスに駆け寄ってそう聞いたが、スフィンクスは無言のまま、その場に倒れこんでしまった。
メテオラは急いで、カバンから愛用の薬箱を出して、スフィンクスの手当をした。
その手当が終わるとメテオラはスフィンクスを自分のローブの胸元の中にそっと入れた。それからメテオラは開かずの扉を見つめた。
……扉は開いている。
その光景はまるでメテオラにこの部屋の中に入ってこいと、扉が言っているようだった。
その言葉にしたがって、メテオラはゆっくりと通路の上に立ち上がると、開かずの扉を押し開けて、真っ暗な封印の間に中に、……たった一人で入っていった。
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