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 それは巨大なステンドグラスだった。

 巨大なステンドグラスが吹き抜け構造の部分を塞ぐようにしてそこにはあった。……そのステンドグラスに描かれている絵は……、どうやら聖母と幼子の絵のようだった。

 確かに下から見上げると、塔の吹き抜け部分の最上部にはステンドグラスのようなものが見えていた。それはてっぺんにあるのだとばかり思っていたのだけど、実際には十三階の吹き抜け部分に作られていたようだ。

 では実際の天井はどうなっているのかと思って、メテオラが顔をあげて魔法学校の天井をみると、そこには夜空の星の絵が円形の天井にびっしりと描かれていた。

 それらの事実を確認するとメテオラはステンドグラスから注意を戻して、走ることに集中した。

 ……円環の通路の上を走っているメテオラの顔から自然と笑顔はなくなっていた。メテオラはなるべく顔の筋肉を動かさないよう努力して、一生懸命になって円環の通路の上を走って、あっという間に通路の反対側にまで移動した。

 その道中、メテオラは僕の憧れる人間の街がこの魔法学校十三階のように冷たい印象を受ける場所でなければいいなと、そんなことを密かに心の中で思った。

 そこで久しぶりにメテオラは、はぁーと大きな呼吸をした。

 そして緊張を和らげるためにメテオラは一人でにっこりと笑った。それはメテオラ独自の元気を取り戻すというおまじないのような行動だった。そのおまじないをすることで、メテオラはいつものように元気を取り戻すことに成功したのだった。

「……はぁー、ここはすごく息がつまりますね」とメテオラがひとりごとをいう。

 それからメテオラはもう一度にっこりと笑った。

 しかし、その笑顔はすぐに凍りつくことになった。

 メテオラが聞いていた噂話の通りに、そこには開かずの扉と思われる扉があった。見た感じは普通の扉となにも変わらない扉だ。

 違っていたのは、その周囲に広がっている異様な風景だった。

 そこには、まずニコラス、アネット、シャルロットがいた。三人は通路の端っこの壁に三人で寄り添うようにして、眠っていた。

「ニコラスくん、アネットさん、シャルロットさん」

 メテオラが三人に駆け寄って声をかける。

 でも、三人とも魔法薬かなにかの力で強制的に眠らされているのか、目を覚ます気配はまったくなかった。

 それから開かずの扉の近辺には、さらに異様な風景があった。


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