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「それはおそらく魔法学校の幽霊は魔法学校の外に出られないからじゃないかな?」とワルプルギスさんは言う。

「幽霊さんは魔法学校の外に出られない?」

「うん。確証があるわけじゃないんだけど、その可能性は高い気がする」ワルプルギスさんは言う。

 本物の幽霊は魔法学校の外に出られない。つまり魔法学校の中に閉じ込められているのだ。そう考えると確かにつじつまが合うような気もする。

 では、なぜ本物の幽霊さんは魔法学校の中に閉じ込められているのだろう?

 本物の幽霊さんの正体はいったい誰なんだろうか?

 デボラたちが偽物の幽霊さんを捕まえればわかる? 

 いや、そうとは限らない。偽物の幽霊さんは勝手に本物の幽霊さんの真似をしているだけなのだ。なら、その手がかりを知っている人物とは誰だろう?

 そう考えるメテオラの頭の中に一人の女性の魔法使いさんの姿が浮かび上がってきた。

 その魔法使いさんは美しい銀色の髪と透き通る陶器ような白い肌をしている美しい人で、その手には先っぽに蛇の彫刻がなされた独特の形をした魔法の杖を持っている。

 それは銀の民の生き残りでありデボラ、アビー、マリンたち月組の教室の担任の先生でもあるモリー先生の姿だった……。


「……メテオラくん。なにを考えているんだい?」とワルプルギスさんの声がする。

「モリー先生のことです」とメテオラは言う。

「なるほど。メテオラくんは頭がいいね」とワルプルギスさんは言う。

「……うん。いいね。メテオラくん。君はすごくいいよ。君とお話ができてさ、それからこうして一緒に魔法学校の幽霊騒ぎの取材ができて本当によかったよ。できればメテオラくんと握手がしたいな。このあとでいつか機会があったら、してくれるかな?」

「もちろんです」メテオラは答える。

「ありがとう。じゃあ最後にそのお礼として、本物の幽霊の目的をメテオラんに教えてあげるよ。これはマシューが言ったように偽物の幽霊の目的でもあるんだけど、いいかい? メテオラくん。よく聞いてね」

 ずっと聞きたかった話が出て、メテオラは思わず自分の耳に通信機を押し当てる。すると、なぜか小さな魔法使いの女の子もメテオラの真似をする。

 それからとても小さな声で「……箱」と、ワルプルギスさんはつぶやいた。

 メテオラは驚いて目を大きくする。

 ……箱?。

 それはつまり魔法学校最上階である十三階に封印されている、あの『禁断の箱』のことに違いなかった。

 あの幽霊さんは禁断の箱を狙っている……。

 アスファロットが作り出した、彼の最高傑作と呼ばれる禁忌の魔法具を手に入れようとしている。でも、それはどうしてだろう? いったいなんのために本物と偽物の幽霊さんたちは箱を手に入れようとしているのだろう? とメテオラは疑問に思う。いや、思いだけでなく実際にワルプルギスさんに「その根拠はなんですか?」とメテオラは聞いてみた。

 しかしワルプルギスさんは、「それは秘密」と言って、その推論の根拠をメテオラに教えてくれなかった。

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