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「こんにちは」と月組の三人が言う。
「こんにちは」とメテオラたちが挨拶をする。
それから「……どうぞ」と言って、アビーがその手に抱えてる大量のチラシから、みんなに一枚ずつ、そのチラシを手渡してくれる。
メテオラたちがそれを見ると、そこには『魔法学校新聞部がついに幽霊の正体を突き止める!』という見出しと、次回のパンプキンの発売日が書かれていた。
なるほど……。
どうやらデボラたちは真面目に新聞部の活動をしているようだ。
「では、みなさんがお揃いになったところで、こちらにどうぞ」笑顔のシャルロットが言う。
これで今日のお泊り会のメンバーは、マシューを除いて、揃ったことになるので、シャルロットはみんなを魔法学校の中に案内しようとした。
……でも、メテオラたちには一つ、その前にどうしても確認しておきたいことがあった。それはマリンの格好についてだった。
マリンはおかしな格好をしていた。
マリンは黒のローブをまとい、荷物の詰まった肩掛けカバンを肩にかけて、魔法の杖を手に持って、首から例の写真機と呼ばれる魔法具を胸の前に下げている、と言う普段のマリンのイメージ通りの格好をしているのだけど、……それは別におかしくない。おかしいのはその頭にかぶっているへんてこな帽子のことだった。
マリンのかぶっているヘルメットのような形をした帽子には大きな丸い筒のような出っ張ったレンズつきの棒が目の位置にメガネのような配置でくっついていて、それのせいでマリンの顔の上半分は完全に隠されてしまっていた。
そんなへんてこな帽子をかぶったマリンがメテオラの顔を見て「こんにちはメテオラくん」と笑顔で個人的にもう一度、挨拶をしてくれる。
「……こんにちは、マリンさん。えっと、つかぬことをお聞きしますが、頭にかぶっている、それはいったいなんですか?」とメテオラは挨拶を返したあとでマリンにそう質問する。
「これですか? これはですね、私が一番大切にしているお気に入りの魔法具です」とそう言って、マリンはメテオラから見える口元をにやっと三日月の形にして笑っている。
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