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 そんなことを考えながら歩いていたメテオラは、ふといつの間にか自分が正門前まで到着していたことに気がついてそこで足を止めた。

 見慣れた魔法学校の正門があったのでここが目的地だとわかるのだけど、それともう一つ、ここがメテオラの目的地だとはっきりとわかることがあった。それは正門のところにニコラスとアネットが立っていて、メテオラに大きく手を振っていてくれたからだった。

 メテオラは手を振り返してから、すぐに二人のところまで早歩きで移動する。

「こんにちは、メテオラくん」

「こんにちは、メテオラくん。お久しぶりですね」

 と、ニコラスとアネットはそれぞれメテオラに挨拶をしてくれる。

「二人ともこんにちは」

 メテオラは二人にそう返事をした。

「こんにちは、メテオラくん。ようこそ、おいでくださいました」そう言って二人のそばにいたシャルロットが丁寧なお辞儀をしながらそう言った。

「こんにちは、シャルロットさん」メテオラはシャルロットに挨拶を返す。

 正門前にいたのは、この四人だけだった。

 月組の三人と、天才魔法使いマシューの姿はない。

 そのことをシャルロットに聞くと、「マシューくんは本日、お泊り会をする部屋に先に行っていろいろと準備をしています。それで、月組のみなさんなんですが……」

 そう言ってシャルロットは視線を移動させる。

 メテオラがその視線を追うと、遠くのほうに月組の三人の姿が見えた。月組の三人は周囲を通りかかる魔法学校の生徒たちになにやらまたチラシのようなものを配っている。

 ニコラスとアネットも一緒になってそちらを見ていると、メテオラたちの視線に向こうも気がついて、月組の三人がこちらにやってきた。

 デボラはその手にでっかい立て看板を持っており、そこに大きな文字で『魔法の森新聞社』という言葉が書かれていた。その文字の脇には魔法新聞パンプキンの名前の由来なのか、加工を施してお化けの顔に見えるように形を整えたでっかいかぼちゃの絵が添えられていた。

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