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 メテオラがマグお姉ちゃんから影響を受けているように、ニコラスは森のお医者さんであるニコラスのお母さんから影響を受けて育っているのだ。

 その影響とはつまり『周囲の状況や自分の感情にとらわれずにとても客観的に物事を観察することができる』ということだ。

 それは森のお医者さんであるニコラスのお母さんにとっては当たり前のことであり、ほかの魔法使いにとっては当たり前ではないことだった。

 なぜなら魔法使いとは基本的に自由気ままに生きる種族だからだ。つまりみんな個性的なので、ほかの魔法使いの意見を素直に聞いてくれる魔法使いはあんまりいないということになる。だからこそ魔法使いは契約を大切にするのだ。

 魔法使いにとって契約は絶対という決まりごとが自然と生まれた歴史にはこういった理由があった。

 また、ニコラスにはそれだけではなくてお母さん譲りの医学の知識もあった。

 なのでニコラスにはもしかしたらメテオラとアネットの疲れ具合とか体調の良し悪しが当の本人であるメテオラたち自身よりも正確に見えているのかもしれないのだ。

 そんな様々なことを考えた結果、メテオラの出した結論はさすがニコラスくんだ、ということで落ち着いた。

 それに三日間の集中授業も、(当たり前だけど)決して無駄ではなかった。

 魔法書の勉強がはかどったこともそうだけど、なにより、夜にマグお姉ちゃんが聞かせてくれた様々な森の魔法使いたちのお話がとても興味深かった。

 古き森の大魔女、先先代の大魔法使いであるアサツユのお話、古き森でのマグお姉ちゃんの生活のお話、ソマリお兄ちゃんの子供のころのお話、黄金の民や銀の民のお話、……そしてなによりもメテオラの興味を引いたのは厄災を引き起こした悪の大魔法使い、アスファロットのお話だった。

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