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「根源の海とは魔法使いのすべての力の源がある地点を中心として渦を巻き、形作る小さな銀河のような存在なのです。すべての魔法使いはそこから世界に生まれ落ちて、やがて根源の海へと還っていきます。それはお話の通りですね。では、その力の源とは、そもそも魔法使いの力とはいったいなんでしょうか? アネットさん、わかりますか?」とマグお姉ちゃんはアネットに質問をした。
「え? 私ですか?」とアネットは驚いたが、すぐに姿勢を正して考えをまとめ、マグお姉ちゃんにその質問の答えを返した。
「それは魔法樹……、のことを指しているのではないでしょうか?」
「正解です」
マグお姉ちゃんはにっこりと笑う。アネットはどこかほっとしたような表情で、その笑顔に柔らかな微笑みを返した。
「根源の海とは魔法樹を中心として生まれる力の渦なのです。そして魔法使いにとっての力とは魔力そのものにほかなりません。根源の海は残念なことに私たちの目で見ることのできない存在ですが、それは確かにあります。そのことを魔法樹や植物たちが私たち魔法使いに教えてくれるのです」
「魔法樹だけなく、植物たちもですか?」とメテオラが言う。
「そうです。植物たちもです。森を形成する木々や、大地を包み込む草花たち。皆私たち魔法使いの一部なのです。魔法使いとはですね、『この世界に森を広げることを目的として生まれた種族』なのです。決して自由に空を飛び回るだけが目的の自分勝手な生き方を選択した種族ではないのです。魔法使いは空と共生しているのではなく、森と共生しているのです。空を愛し、自由に生きる魔法使いの生きかたを否定するわけではありませんが、魔法使いはどんなに空に恋い焦がれても、必ず森に戻ってきます。そこが魔法使いたちの本当の居場所だからです。そうして魔法使いたちは世界に森を広げ、その森が魔法使いたちのために魔力を生み出し、結果的に根源の海が大きくなる。その結果、魔法使いという種族はその数を増やすことができるようになるのです」
メテオラはマグお姉ちゃんの言葉を頭の中で必死に咀嚼していく。
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