95 合宿
合宿
魔法学校が長期のお休みに入った最初の週に、星組は特別合宿を行った。
星組の合宿は魔法の森の東の湖畔にある魔法学校が所有している森小屋で行われた。
合宿は三日間行われたのだけど……、残念なことにその三日間とも雨だった。
メテオラたちが初日に森小屋にたどり着いたときには、空はすっかりと曇ってしまっていた。今にも雨が降り出しそうな天気だった。
そしてその予想通りにすぐに雨は降り出した。
予定では三日間、ここでみっちりと空を飛ぶ練習をするはずだったのだけど、メテオラたちは結局、飛行術の訓練はせずに、森小屋の中でのお勉強となった。
なぜそんなことになってしまったかというと、空を飛ぶ種族である魔法使いにとって雨は大敵だったからだ。
別に雨が降ったからといって空が飛べなくなるわけではないのだけど、それでも晴天の日よりも負担がかかるのは間違いなかった。浮力の魔法の感覚も微妙にずれるし、雨風を防ぐために装備の強化もしなければいけないし、魔法力の調整も難しくなるそうだ。
ベテランの魔法使いであれば嵐の中であろうと飛んでみせるらしいのだけど、魔法使い全員にそれができるというわけではない。それに視界も悪くなるし、雨に濡れれば、当然体だって重くなる。
なので基本的に魔法使いは雨を避ける傾向があった。
それでもメテオラとアネットは雨の中でも練習がしたいと思い、アネットは実際にそれをマグお姉ちゃんに提案もしたのだけど、許可されなかった。
ニコラスは初めから、残念だけど無理はしないで合宿は魔法書の勉強に集中すれば良いという考えだった。
その理由は、雨が降っているということは、これは神様が僕たちに休めと言っている合図だと思うから、というものだった。
ニコラスは決して冗談でそんなことを言っているのではない。きちんとみんなの体調などを考えて、そう発言をしているのだ。
それは無意識の判断なのかもしれないけれど、間違いなくニコラスはある基準を持って、つねにメテオラやアネットよりも最適な状況判断を下していた。
そのある基準とはニコラスのお母さんである森のお医者さんの基準だった。
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