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「マリンちゃん? どうかしたんですか?」アネットが聞く。
「……なんでもないです」とマリンは言って、下を向いて顔を隠してしまった。
「みなさん。自習のアリバイのために、図書館から一冊ずつ、魔法書を持って行ってください。その魔法書を使って勉強をしていたことは僕が先生方に保証します」
時計の間を出て行こうとするみんなに向かってマシューが言った。
「お、そうなのか。そりゃラッキーだな」
デボラが喜ぶ。
マシューの言葉に従って、みんなは時計の間から出て魔法書の保管室の中に移動して、そこから適当な魔法書を選んで手に取っていく。そんな中、一冊の魔法書がメテオラの目に止まった。
「どうかしたの、メテオラくん?」
ぴたっと動きを止めたメテオラを見て、隣にいたニコラスが聞く。
「いいえ。なんでもありません」
そう言いながら、メテオラは一冊の魔法書を手に取った。
その魔法書の表紙には『大魔法使いアスファロットの伝説』という題名が小さくて控えめな文字で書かれており、その下にはアスファロットその人であると思われる魔法使いの絵が描かれていた。
その魔法使いの絵は、メテオラが今朝、星組の教室の中で見かけた、背の高い顔の見えない魔法使いさんの姿とそっくりだった……。
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