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「僕は幽霊を捕まえることに賛成します」
それはメテオラらしくない選択だった。
実際にニコラスとアネットはそのメテオラの意見にとても驚いていた。
普段のメテオラであれば、アネットの意見にニコラスと同じように賛成していたと思う。
でも、メテオラはなんだかすごく嫌な胸騒ぎがしていた。
この幽霊騒ぎをこのままにしていたら、森にとって『とてもよくないこと』が起きるような気がしていたのだ。
メテオラは今朝、星組の教室で見かけたあの顔の見えない魔法使いさんのことを思い出していた。
……あの魔法使いさんは誰だったのだろう?
ニコラスの言う通り、僕の見間違い?
それとも、あの人が幽霊に扮した魔法使いの正体なのだろうか? でもあの人は警報が鳴る直前まであの場所にいた。
幽霊は、偽物である、とマシューは言った。
マシューの話を聞いて、メテオラもそうだと思っている。
でも、メテオラが見たあの魔法使いさんは、なんだか本物の幽霊であるように思えた。
……その正体を知りたい。
あるいは、その偽物の幽霊は、その本物の幽霊のような魔法使いさんのことを知っているのかもしれない。
いろんな思考がメテオラの頭の中を駆け巡っている。
とにかくメテオラには、このまま幽霊騒ぎの傍観者のままでいることはとてもじゃないけどできそうにもなかった。
メテオラは真剣な顔でニコラスとアネットを見た。
二人はメテオラの顔を見て、メテオラがマシューとは違い、面白いからこの問題に首を突っ込もうとしているのではないということを理解した。
「……わかったよ。怖いけど、メテオラくんがそういうのなら、僕も賛成する」ニコラスが言った。
「……私も納得したわけではありませんけど、リーダーであるメテオラくんがそういうのなら、賛成します」アネットが言った。
「僕のわがままに、ありがとうございます」メテオラは二人にお礼を言った。
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