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その魔法使いさんの姿を見て、誰だろう? とメテオラは疑問に思った。
すると見知らぬ魔法使いさんがこちらをゆっくりと振り返った。
その長い髪のせいなのか、それとも大きな帽子のつばが太陽の光を遮っているせいなのか、背の高い魔法使いの顔には暗い影がかかっていてよく見えなかった。でもその暗い闇の奥から二つの大きな漆黒の瞳がじっとメテオラの顔を凝視しているということは、なぜか感覚的に痛いくらいにメテオラに伝わってきた。
『……君が、メテオラくん、……だね?』
くぐもった声が闇の奥から発音される。
その瞬間、メテオラは『顔の見えない魔法使いさん』のまとっている分厚い嫌な感じのする威圧感のようなものに圧倒されて全身に衝撃が走り、なぜだか動けなくなってしまって魔法使いさんに、はい、そうです、と返事をすることができなかった。
じりじりじりじりーーー!!
そんなけたたましい警報が学校中に鳴り響いたのはそんなときだった。
「な、なにー?」
「なんですか? いったい?」
ニコラスとアネットの声。
ざわつく通路。いろんな教室から生徒たちが異変の正体を確かめるため通路に飛び出しているようだ。ニコラスもアネットも急いで通路に飛び出す。はっと我に返ったメテオラも二人のあとについていく。
警報ベルはそのあとすぐに鳴り止んだ。それからすぐに校内放送がかかり、『今の警報は誤報です』という内容のアナウンスがされて、騒ぎは一応収まった。
メテオラは先ほどの魔法使いさんの質問にまだ答えていないことを思い出して、教室の中に目を向けた。でもそこにはもう見知らぬ魔法使いさんの姿はなくなっていた。
メテオラはぱちぱちと目を見張った。
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