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年三回ある魔法学校定期試験の一回目の試験が行われて、メテオラは六人いる(太陽組は試験免除)見習い魔法使い卒業試験を受ける仲間たちの中で一番の成績をとった。
メテオラは昔から勉強がとてもよくできた。
試験で一番を取ることもこれが初めての経験ではなかった。
マグお姉ちゃんも、ニコラスもアネットも、メテオラにおめでとうを言ってくれた。メテオラはありがとうと返事をしたが、内心は複雑だった。その理由はもちろん、自分だけが未だに飛行術の進歩がなかったからだ。
事件が起きたのは、そんな試験結果発表の翌日の朝だった。
そのころにはアネットはメテオラとニコラスのことを、星組の教室のドアの前で待っていてくれるようになっていた。
三人はドアの前で合流すると、いつものようにメテオラがとんとん、とドアをノックしてから、ドアを開けて教室の中に入った。
すると誰もいないはずの教室の中に、一人の見知らぬ背の高い魔法使いの姿があった。その魔法使いは教室の一番奥の窓際のところに立っていて、そこから窓の外を眺めているのかメテオラに背中を向けていた。なのでメテオラはその魔法使いの顔を見ることはできなかった。
真っ黒なとんがり帽子に真っ黒なローブ。そして手にはその背丈と同じ長さの魔法の杖を持っている。その杖は先っぽに『蛇のような彫刻』がなされている高価なものだ。
黒くて少し癖のある長い髪が腰のあたりにまで伸びているけど、女の人ではない。男の人だ。どうしてそれがわかったのかと言われると説明が難しいのだけど、メテオラはその魔法使いさんの背中を見ただけで、この人が男の人だということが理解できた。もしかしたらメテオラがそう思ったのはその人の体格がそれなりにがっしりとしていたからかもしれない。
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