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その会話の中で、もしかして、そうなのかな? とは思っていたけど、やっぱりアネットもメテオラやニコラスと同じわけありの生徒だということがわかった。
アネットもメテオラたちと同じで空が飛べない落ちこぼれ魔法使いだということが判明したのだ。
その事実にはメテオラもニコラスも驚いた。
そんな落ちこぼれは、この魔法学校に自分たち二人しかいないと思っていたからだ。
そのことをアネットに話すと、アネットは空が飛べない魔法使いは自分一人だけだと思っていたらしく、二人に会えてとても嬉しいと本当に嬉しそうな顔でそう言った。
「私、ずっと一人で落ち込んでばかりいたんです……。それを励ましてくれる友達もいるんですけど……、その子はきちんと空が飛べるんです。だから私は勝手にその子との間に距離のようなものを感じていて……、だからこうしてお二人と出会えたことがとても嬉しいんです」
アネットはメテオラたちの顔を見てその大きな青い瞳を輝かせながらそう言った。
「私、絶対に空が飛べるようになりたいんです。……ううん、それだけじゃなくて絶対に一人前の魔法使いになりたいんです。だから、メテオラくん、ニコラスくん、これから一年間三人で一緒に頑張りましょうね!」
アネットのやる気は、なんだかメテオラの目にとても眩しいものとして写り込んだ。
それはニコラスも同様だったようで、ニコラスはアネットのやる気が伝染したように頬を紅潮させると、両手を握りしめながらうんうんと何度も頷いていた。
メテオラはそんな二人の姿を見ながら、マグお姉ちゃんのことを考えていた。
メテオラの中のマグお姉ちゃんはいつも笑っていたけど、もしメテオラが見習い魔法使い卒業試験に失敗したら、マグお姉ちゃんはそれが原因で泣いてしまうかもしれないのだ。それはとても嫌だった。だからメテオラは、自分は絶対に卒業試験に合格して一人前の魔法使いにならなければならないと強く思った。
アネットはメテオラとニコラスの顔を交互に見てから、「みんなで一緒に絶対、見習い魔法使いを卒業しましょうね」と明るい声をかけてくれた。
「はい。みんなで一緒に卒業しましょう」
「うん。そうだね。絶対一緒に卒業しようね!」
メテオラとニコラスはアネットにそう返事をした。
それは魔法学校特別教室星組の三人の間に『強い絆』が生まれた瞬間だった。
そのことをメテオラたちはお互いに確かに感じ取っていた。このときからメテオラたち三人の空が飛べない落ちこぼれ魔法使いたちの目的は、三人で一緒に見習い魔法使い卒業試験に合格することに決定したのだ。
それからメテオラ達はそんな気持ちを確かめ合うようにして、お互いの顔を見ながらにっこりと笑いあった。
そのとき、ごーん、ごーんという大きな鐘の音が魔法学校中に響き渡った。
それは授業の開始を合図する鐘の音。その音が止んですぐに、とんとん、とドアをノックする音がした。
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