13 三人の空が飛べない落ちこぼれ魔法使い

 三人の空が飛べない落ちこぼれ魔法使い


 空を飛ぶことに大失敗したメテオラはマグお姉ちゃんの杖の後ろに乗せてもらって魔法学校まで送ってもらうことになった。

 メテオラはいつものように森の中の道を歩いて魔法学校まで通いたかったのだけど、マグお姉ちゃんはそれを許してくれなかった。それはたぶん今日の失敗がいつも以上に派手だったからだろう。

 いつもなら『メテオラの魔力が暴走したとき』でも、あんなに速く、高く、そして遠くまで飛んでいったりはしない。

 せいぜいその辺の草むらに顔面から思いっきり突っ込むか、さっきのように空の中を暴走したとしてもきちんとマグお姉ちゃんが余裕を持って受け止めてくれる範囲の話だった。

 それはメテオラ自身がマグお姉ちゃんの忠告通りに『普段から自分の魔力を極限まで抑えていた』からなのだけど、今日は魔法学校の見習い魔法使い卒業試験を迎える年の最初の月の初めての日だったので、メテオラは今朝の空を飛ぶ練習にとても気合が入っていた。それに最初は、浮力の魔法がとてもうまく成功したこともあって、メテオラは調子に乗っていつもよりも少し多めに魔力を解放しすぎてしまったのだ。

 ……その結果として、それらがすべて裏目に出てしまったということになる。

 マグお姉ちゃんはさっきからメテオラのことをとても心配してくれている。危なく今日は学校はお休みして家で寝ていなさいということにまでなりそうだった。

 それはなんとか大丈夫だと言って一応、メテオラはマグお姉ちゃんを説得することができたのだけど、その代わりにマグお姉ちゃんがメテオラを魔法学校まで空を飛んで送るということで話がまとまったのだ。

 こうしてマグお姉ちゃんの杖の後ろに乗せてもらって、魔法学校まで送ってもらうのは、本当に久しぶりのことだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る