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メテオラの返事を聞いてマグお姉ちゃんは手に持っていた自分の身長と同じくらいの長さのある魔法の杖に自分のお尻を乗せて、それから両足で足場として作られている木製の床の上を軽く蹴ると、そのままそっとその体を杖ごとなにもない空中に投げ出した。
普通であれば、そのまま重力に引かれて、マグお姉ちゃんの体は地面の上に落下してしまうだろう。
しかし不思議なことに、マグお姉ちゃんの体は支えるものがどこにもないはずなのに地面の上に落下することもなく、ふわふわと空中に浮かんでいた。
それはマグお姉ちゃんの持っている魔法の杖が、マグお姉ちゃんの『浮力の魔法』によって空中に浮かぶ力を得ていたからだった。
この浮力の魔法を利用して自由自在に空を飛び回る『飛行術』と呼ばれる技術は、この世界に生きるすべての魔法使いたちの代名詞であり、また基本中の基本魔法でもあった。
とくにマグお姉ちゃんはこの飛行術を得意としていることで有名な魔法使いで、マグお姉ちゃんは森で暮らす魔法使いたちの中でも、『もっとも速く空を飛ぶことのできる最速の魔法使い』だったのだ。
「さあ、メテオラもやってみて」
「はい」
メテオラはマグお姉ちゃんのように杖に横坐りをするのではなく、杖を両足の間に挟んでから意識を集中させた。これが本来の魔法使いの空を飛ぶ基本姿勢であり、マグお姉ちゃんが横座りをしているのはメテオラの指導をするためだった。魔法学校の先生たちが生徒たちに飛行術を教えるときによくやる座りかただ。
マグお姉ちゃんも普通に空を飛ぶときは僕と同じこの姿勢で空を飛ぶ。最高速を目指すときなどは、さらに体を倒して前傾姿勢になったりもする。
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