メテオラたちが暮している『魔法の森』の南東には小高い丘があって、その上には森で暮らす魔法使いたちから『長老の木』と呼ばれている森一番の古い大木があった。メテオラの暮らしている家はそんな大きな長老の木の右側の枝の上に建てられていて、その反対側である左側の枝の上にはお隣さんであるマグお姉ちゃんの家が建てられていた。

 ここからの眺めは最高で、家の外に出るといつも通り目をくらませるような眩しい朝の太陽の光がメテオラたちの目の中に飛び込んできた。それと同時にとても気持ちがいい爽やかな風がメテオラたちの周囲を吹きぬける。見上げる空は一面の青。視界を下げるとそこには地平線の果てまで続いている、まるで緑色の海のような深くて広い生命力あふれる魔法の森の風景が広がっていた。

 そんな目の覚めるような美しい風景を前にして、メテオラの意識ははっきりと覚醒する。

「じゃあメテオラ。いつも通り私が先に飛ぶから、メテオラは私のあとをゆっくりついてくるのよ。焦らなくていいから、まず、それだけに集中しなさい。わかったわね?」とマグお姉ちゃんが言った。

「はい。わかりました」とメテオラはマグお姉ちゃんに返事をする。

 メテオラたちはここから、それぞれ空と大地の二手に分かれて、魔法学校までの道のりを毎日通っているのだけど、その前にまず必ず行っている二人の朝の儀式のような行動があった。

 それはメテオラの『空を飛ぶ練習』をすることだった。

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