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焼け落ちた森の中でメテオラを見つけたとき、マグお姉ちゃんは本当に嬉しそうに笑ったそうだ。メテオラはもちろん覚えていないのだけど、メテオラもそのとき、嬉しそうに笑ったマグお姉ちゃんの顔を見て、同じようににっこりと笑ったらしい。マグお姉ちゃんはメテオラを拾い上げると、そのまま森の焼けた煙と灰で立ち込める絶望の空の中に飛び立った。
それからマグお姉ちゃんはメテオラの本当のお母さんのように親身になってメテオラを大切に育ててくれた。
マグお姉ちゃんは、そんな優しいお姉ちゃんだった。
それからしばらくして洗い物を終えたマグお姉ちゃんは慣れた手つきでエプロンをとると、手を洗い、壁にかかっている古い木製の時計を見て時刻を確認した。時計の針は、いつの間にか、もうそろそろ出発しなければ学校に遅刻をしてしまう時刻を指している。
心地よい満腹感の中で、ぼんやりとむかしの思い出に浸っていたメテオラはマグお姉ちゃんにつられるようにして時計の針がさす時刻を確認して驚いた。確かにマグお姉ちゃんの言う通り時が経つのはとても早いのだとメテオラは思った。
「メテオラ、そろそろ出発しましょうか?」
マグお姉ちゃんはそう言いながらローブの裾をただしてとんがり帽子を頭にかぶると、自分の杖とカバンを手に取って出発する準備を整えた。
「はい。わかりました」
メテオラは椅子から立ち上がると肩掛けカバンを肩にかけ自分の杖を右手に持って、マグお姉ちゃんのあとについて元気よく家の外へと出かけていった。
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