異次元世界に羽ばたいた青年

mitre refen klj

第1話  勉の登場

ある夏、奈良県でも最南端に近い十津川町で、ある物語が始まろうとしてる。(もちろん、フィクションである。)著者も年に何回か訪れたことがある。特に、おすすめなのが、はるかかなり山の高いところに神々しい霊気に包まれたような 十津川神社である。年末年始には、地元の人たちが、お新香を作って食べさせて

くれる。二つ目が、かの有名な日本一長いつり橋「谷瀬のつり橋」である。一人

で渡るとそう揺れないが、大人数で渡るとかなり揺れる。すると、ほとんどの人

が、驚いて笑うか怖くて神妙な表情に変わる。三つ目が、谷瀬のつり橋からすぐ

にある新選組の碑がある。そこの前に立つと、よく新選組関連の小説や漫画でも

よく出てくるようなその当時の凄まじい時代を生き抜こうと必死な志士たちの無

念や歓喜が感じられる。


 ある朝、小鳥のさえずりで勉は、目が覚め目覚まし時計がまだ鳴っていなか

ったが止め起きた。そして、部屋から出て食卓へ行く。すると、弁当を作ってい

た母芳恵が、居た。勉は、「おはよう。」と声を掛けた。母芳恵も、「あら、

武志起きたの、今日は早いねえ。おはよう。」と言った。勉は、食パンを食べ

作ってくれた弁当を持って家を出、高校へ向かった。勉の通う高校は、吉野の

山奥にあり、自転車で50分程離れたところにあった。途中でかなりきつい坂が

あり、通行仲間では漫画で出てきた「とどろき坂」と名付けていた。そこの坂を

通ると勉は、行きも帰りでも今までで辛かったことも乗り切ろうと踏ん張るこ

とを身につけていた。そうこうするうちに校舎へ着き下駄箱で靴を履き替え教室

へ入った。いつもの授業を受け、夕方になり下校した。帰宅後、もうすぐあと半

年で、大学受験を迎える予定だったが、どうしても勉学に身が入らず部屋ではテ

レビをみていた。しばらく時間が経つと漫画を読んでいた。勉の高校は、進学

校でもなくほとんどの生徒が、高校卒業後就職していた。勉は、勉学はしなく

ても行内ではそこそこの成績で、大学は進学可能であった。就寝前になって、

勉は、幼馴染の佳子ちゃんのことを考えていた。

 小学校からほとんど同じクラスで、今現在も3年5組で同じクラスだった。中学校2年の運動会の頃に武志はいつのまにか恋心を抱くようになっていた。その運動会とは、400メートルリレーの男子の代表に武志は、アンカーだったが、佳子も400メートルリレーのアンカーを務めていた。その女子種目は、順番先だったがその順番待ちの間、恭子が、「あっ、勉もアンカーなの?偶然じゃん。足速かったんだ。すごいじゃん。」と可愛い顔で声を掛けてきた。今まで佳子と話をしたことはほとんどなかったが、この瞬間勉は、なぜか胸の高鳴りが止まらず少し動揺していた。少し時間が経ってから「あー。そういえば、俺今回リレー出るの初めてだな。あはは。」と胸の高鳴りと童謡を隠そうと照れ笑いしていた。そして、しばらくすると恭子の番がきて、佳子は1人抜かしたが2着だった。そして、次に男子の種目になり、武志は、「あー。佳子ちゃん。2着かあ。悔しいだろうなあ。よし、俺様は1着を目指すぞ。」と心の中でつぶやいていた。そして、勉は、3番目のバトンを受け、2人を見事に抜かして1着でゴールインした。勉は、ヤッターと右拳を上空に突き上げていた。すると、佳子が「ヤッター。勉。ヤッター。」と少し遠くから声を出し同じクラスの子たちと喜んでいた。その日から少しずつ親しくなっていた。特に中学3年の夏休み帰宅途中1人で佳子が自転車で前を走っている時、勉は、一目散に自転車を走らせ「佳子ちゃん、元気?今日は、珍しく帰り早いね。そうだ、佳子ちゃんもうすぐ夏休みだけど、吉野の花火友達たちで行こうよ。」と思い切って誘った。そして、半月後、佳子や勉たち男女6人

は、吉野の川沿いの花火大会へ行った。

 そこでは、多くの露店や人だかりで賑わっていた。勉たち男3人は、花火が

始まるまで射的や風船ゲームなどで楽しんでいた。一方、佳子たちの方はわがし

や菓子当てゲームを楽しんでいた。2時間ほど経過して、花火が始まる頃には、

約束の場所に6人とも集まり花火がよく見える場所にいた。そして、「ドーン」

とすごい音と共に花火が始まった。観客の皆さんは、「たまやー。すごいぞー。

いいぞー。その調子ー。」と皆さん興奮気味に叫んでいた。そんな中、佳子ち

ゃんが、武志に寄ってきて「今日、ありがとう。誘ってくれて。これ、露店で

もらった景品のペン。あげる。大切に使ってね。」と渡してきた。勉は、

「ありがとう。今日は、みんな、楽しんでくれてよかったよ。うん。うん。」

と喜んでいた。そして帰る途中で、2人は、握手をした。

 (そんな中学時代だったよな。いつからか、俺たち話もしなくなっていたな

あ。)と、幼馴染の佳子ちゃんとのことを思いだしていた。

 そして、「あっ、あれからかなあ。」と勉は、また今度は高校1年のバレ

ンタインデーの日に、昼の授業の体育が終わって自分の机の中にピンク色のリ

ボンで包まれたチョコレートが入っていたバレンタイン事件を思い出した。そ

の時の騒動といったら、クラス中で大変なことになっていて昼ごはんの時には

クラス全員がごはんを食べることを忘れるほどクラスの人気者陽太が「誰や、

誰や、こんなかわいらしいチョコレートを黙って机に、誰や、誰や、おまえだ

ろ」とか、あちこち指さして駆け回っていた。急に、勉は、困惑気味に追い

かけて「やめて、やめて、やめて、ちょっと、待ったー。」とクラス中が、

大騒ぎだった。そんな大騒ぎの日から勉は、女性恐怖症になっていた。

 今から思えば、お笑いに過ぎないが、その日を境に女子生徒に「おはよう。

」と言われても、勉は、背筋がビクッと異様な反応で、15秒たってから、「んー、おはよう。」と女の子たちと疎遠になっていった。

 それを思い出し、「ちきちょう。誰の仕業なんだろう。このまだ女のこと

なんか全然しらない僕ちゃまに、ちきしょう。」とか、「やっぱり、あの日

からや。そうだ。」とつぶやいていた。

 そうこうするうちに、勉は、眠りに入った。


  翌日、勉はいつも通り学校へ通い授業中も何度か佳子ちゃんの席の方を

ちらちら見ていた。佳子ちゃんの足元からじろじろ見ていた。あまり、授業

中に4つほど斜め前とはいえ、見るものだから1人の男子学生が、気づいて

首を横に振っていた。勉は、少し驚いて、「今日の俺は、おかしい。俺、

どうかしてる。」とつぶやいて首を横に振って書き写し始めた。しばらくし

て、先生が、「勉君、この教科書の75ページ読んでくれる?」と声がして、

勉は、「はい、」と答え、教科書を朗読し始めた。

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