『大学生編』1話:再来


ましろたちがシグナスを倒してから一年と数ヶ月後。


ましろは進学の為とある街に移り住み、大学生として学業とアルバイトなど、忙しい毎日を送っていた。

仲間や家族と離れ、一人。

胸の中にできたあの戦いの傷を忘れる為に…。


そんな生活にも慣れてきたある夜、ましろはアルバイトからの帰路の最中、謎の衝動に駆られ普段なら入らない路地裏に入り込んだ。


彼女がそこで遭遇したのは、もう居ないはずのキメラ。そしてそれと戦う元ガレアの幹部『アイヴィー』…『九重イヴ』だった。


その光景に驚きの表情を浮かべるましろだったが、劣勢のイヴに加勢するため、間に飛び込み、隠し持っていたライザーをあの頃のように構えた。

しかし…。


「…反応しない…?」


スフィアライザーは彼女に応えることはなく、最悪な状況からイヴとましろは逃走。

しかし、別の魔物に回り込まれて窮地に陥る二人。

そんな二人の前に姿を現したのは、


「黒い…レヴェリー…?」


突如現れた謎の黒いレヴェリーは一瞬でキメラを倒すと


「私はエンプレス。…また会いましょう」


と言い残して二人の元を去った。


それから愛奈の住むアパートに向かった二人は、イヴがなにをしていたのか、何故ましろは変身出来なかったのかを話し合った。


前者は、最近魔物の被害が発生しておりそれを移住してきた異世界人のせいにされてしまい、汚名を晴らす為に原因を突き止めようとしてキメラに遭遇したと言う。


そして後者に対して三日月愛奈は


「確定事項とはいいきれないが、水無月妹。あの日…お前はシグナスを倒した際にレヴェリーとしての資格を失ったのかもしれない。

…潮時だ。水無月妹。あの頃と違って世間の目もあるお前はこれ以上戦うべきではない。」


と言い放った。

あの日、シグナスを倒す為、全てのフォームも犠牲にしてまで一撃をぶつけた事、思い返せばその時が最後だったのかもしれない。


ましろは俯くことしかできず、それでも彼女の指示を受け入れることもできなかった。

それを受け入れてしまうと、あの戦いから残された自分のすべてを無くしてしまいそうで…。




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