大学生編

『大学生編』0話 戦いの末路

あの日…。

私、レヴェリーヴァイス…水無月ましろは、仲間たちと共に宿敵ガレア帝国を倒した。


「これでいつも通りの日常が戻ってくる。」


そう信じて、仲間の皆が喜び、今後を安堵していた私達に待ち受けていたのは、世間の冷たい目であった。


被害はあまりなかったにせよ。

私達の戦いは多くの市民の目に触れてしまった。

怪物に等しい存在を打ち破る力を持ってしまった私たちを政府は放っておいてはくれなかった。

その責任を抱え込んだのはお兄ちゃん…神崎優弥だった。


彼は私達を庇い、変身アイテムであるスフィアライザーの没収と自身の拘束を条件に私達の日常への帰還を求めた。

これに対し政府は、変身さえできないのであれば無害であると私達を解放し、責任を取ると言った優弥を名目上英雄的特別待遇として新たな部門の研究者として働かせて常に監視下に置き、私たち仲間との接触を禁じた。


言葉を交わす間も無く実感のないままの別れ、決戦前夜『好き』と告げた告白の答えも聞けぬまま。


それから、一年と少し…。

世界では異世界人の受け入れや、マナという謎のエネルギーに関して騒動が何度か起きて少し落ち着きを見せたその頃。


怪我が完治した神威さんはメイドとしてフロン社へ帰還し、こころちゃんは家を継ぐために進学せず実家に残り、イヴは残ったガレアの民との橋渡し役として飛び回り、共に過ごすことになっていたるーちゃん…ルーシャも何者かの働きにより国外へ行ったきり帰ってこれないままでいる。


そして一人残された私は、大学生となり、家族の身の安全を考えて故郷を離れた。


ただ一人愛奈ちゃんはついてきたけれど、あの日共に戦い、笑いあったみんなはここにはいない。


「あの日の戦い…。私達は何を間違えてしまったんでしょう。」


生ぬるい風で乱れる髪を抑えて、私はまた歩き出す。憧れのヒーローの末路とは違ってしまった私の戦いはきっとまだ…終わっていないから。

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