第16.5話

 霞んで曖昧な意識の中、夢か現実かわからないが、少しだけ音を聞いた。

 人が自分の上や周りを駆けていく音、誰かの何かてきぱき指示を出しているような声、何か大きなものが引きずられていく音、風の音。しかし、すべてはそのうち聞こえなくなり、鼓膜を痛めつけるような静寂が私を包んだ。そして私の意識は暗闇の中にさらに沈んだ。

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