第7話

梅田のホテルに行った。

景子はこれが最後だと思うと、思いっきり楽しもうと思った。

懐かしい土井垣の体にみとれた。土井垣は優しかった。

すぐにヨットで青い海を滑るように進むような喜びが来た。続いてサーフィンで波の上を渡って行くような喜びが来た。

これでお別れしなければいけない、最後にしなければいけないと思った。寂しかった

石川景子が平安京大学に入学する2年前の1986年に京田辺キャンパスがオープンしたので、最初から石川景子は京田辺キャンパスしか知らなかった。

クラブ活動は、どこにも入ろうとも思っていなかった。図書館の前で速記部の勧誘を受けた。景子は速記そのものを知らなかった。が、少し興味を持ったので、部室に見学に行った。上級生が数人居た。速記の説明を受けて、やってみて、おもしろいと思った、速記部に入ることにした。

平安京大学の速記部は、大和高田市議会と橿原(かしはら)市議会の奈良県内の2つの市の市議会の議事録の作成を委託されていた。

速記は3カ月勉強したら覚えられた。

大和高田市議会も橿原市議会も定例市議会が3・6・9・12月にあった。その他に臨時市議会があることもあった。

市議会の速記は部員5人で行った。行き帰りは電車だった。メンバーはその都度変わった。部員は全部で20人居た。

2年生に中野常晴が居た。時々一緒になった。中野は身長174センチ体重66キロ

普通の体だった。よくしゃべる男だった。「僕体が弱いから」が口癖だった。おとなしそうな様子をして、実は厚かましい性格だった。高級な服装をしていた。家は大阪府島本町の呉服屋だった。本人は家を継ぐのを嫌がっていた。京都府の金融機関に勤めたいと思っていた。

景子と中野は恋愛し結婚した。二人は景子の実家に住んだ。子供が二人できた。

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