第4話

 店の前でタクシーを拾って、桜ノ宮シャンテパートⅡに向かった。

 205号室だった。カギを開けて、スリッパに履き替えて、土井垣は優しく景子を抱き寄せた、景子に優しくキスをした。

「怖がらなくていいからね」

 土井垣は優しく景子を愛撫した。

 ホテルを出たのは11時だった。タクシーで梅田に向かった。土井垣は征服感に酔いしれていた。景子は至福のときを過ごしていた。土井垣のたくましい体に抱かれて天国のようだった。思い出すたびに幸福感に包まれた。次の日も家に居て思い出すと幸せに包まれた。

9月28日

午前11時に、社長が突然言った。

「土井垣とやったんか」

「いえ、していません」

「土井垣が『景子ちゃんとやったもんね』と言っている」

「えーっ」

 絶句した。返す言葉が無かった。否定すれば良いのか、なにも答えないのが良いのか、その場に凍り付いて何も言えなかった。

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