第6話

「なんだか今日は不思議な夜だったなぁ」


 ふと空を見上げると、月は雲に隠れて見えない。ほんとうにお母さんの言う通りだった。


 なら私が見た、あの青い月は一体?

 明日、秋月君に今日のことメールしてみよう。でも、最後に秋月君が言っていたタイムリミットってなんだったんだろう?


 私は睡魔に負け、そのまま意識を手放した。


☆ ☆ ☆


「えー、次のニュースです。~~~」


「おはよー、お母さん」


「おはよう。ねぇ、紬。中学時代に仲の良かった秋月君って居たわよね?」


「う、うん……」


 お母さんの顔色が悪い。私は嫌な予感がした。


「昨日の夜20時に隣町で殺されたらしいわ。なんでも、中学時代の友達と会ってたみたいで、その帰りに」


「え? う、そ……」


「しかも、犯人は見つかってないらしいのよ。

怖いわね」


「……」


 お母さんが何か言っている。けど、私の耳には何も入ってこない。これは夢? それとも現実?


 ふと秋月君の言葉を思い出した。タイムリミットと言っていた。それに道が間違っていたら、この道を戻って、いつも自分が帰る方向に進めって。


 もし、あのとき、そのまま違う道を進んでいたら、私はどうなっていたの?


 きっと、この青いバラに守られたんだ。ありがとう、秋月君。でも、どうして私なんかを助けたの? これを秋月君が使えば、助かったんじゃないの?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る