第4話
「うん、久しぶり。葉月さん、相変わらず元気だね」
「そりゃあ元気だよ! 高校から入ったバドミントン部も楽しいし! 秋月君は……なんか変わった?」
「そう、かな?」
中学時代の秋月君は今の私のように、とても明るい男の子だった。しかし、今ではなんだか大人しい感じがする。
高校生になったから落ち着いたのかな?って思ってたんだけど。
「それに顔色悪い気がする。秋月君、大丈夫?」
「……あ、もうすぐ時間なのかも」
「え? 時間って、なんの?」
秋月君は唐突にわからないことを言い出した。
もうすぐ時間って、どういう意味だろう?
「葉月さん、君に会えたのはとても嬉しいことなんだけど……時間もないから要件だけ話すね」
「う、うん」
秋月君の様子は、まさに切羽詰まった状態に見えた。
「葉月さん、よく聞いて? 君の家がこのまま真っ直ぐなら進んで。もし違っていたら、すぐに戻って、いつも家に帰ってる道を歩くんだ。わかった? それと、僕に会ったことは誰にも話しちゃ駄目だよ。もちろん家族にも。
それと、この青いバラを君にあげる。そして、この青いバラを家に着くまで絶対離さないこと。このバラはきっと君のタイムリミットを少しだけ止めてくれるはずだから。さぁ、はやく行って!」
「え、ちょっと……!」
秋月君は青いバラを私に渡して、そのまま真っ直ぐ走り去って行った。
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