2017年 3月〜

第12話 卒業・そして別れ

 全てをかけたテストはあっという間に終わってしまった。言えることといえば、今まで苦手だった国語が一番手応えがあり、数学は死亡、理科は苦手なところが全てでた、社会は難しかった。とこんなところだろうか。

 とにかくもう終わったのだ。

 俺は卒業式を終え、クラスのみんなで最後の打ち上げに参加し、帰りの暗闇の中、裕希菜と二人で中学校の中庭にあるベンチに二人で座る。

「裕希菜、ありがとう。一年間支えてくれて。」

「ううん。うちの方こそ支えてもらったよー」

「裕希菜って将来の夢、理科の教師になることって前言ってよね!」

「そうだよー!」

「俺も理科の教師になろうと思う。今までの受験の体験話を生徒に話そうかなーって思ってさ!」

「まじ!?じゃー同じ目標だね!これからも頑張らなきゃじゃん」

「そうだなーー」

 時刻は十時を過ぎていた。「じゃ、そろそろ帰ろっか!明日は合格発表だし…」

「そうだねー!」二人で自転車を走らせる。

「裕希菜?まじでありがとね」

「そんな感謝されてもーー!」

 ゆっくり漕いだつもりだったがあっという間に家に着いてしまった。

「じゃーーまたねー!ばいばい」手を振る。

「うん!またねーーー!」と裕希菜も手を振る。

 それから、裕希菜と会って喋ることはなくなった。

 次の日の午後、俺は南高校に受験番号を見に行ったが、そこに俺の番号はなかった。


 百回は確認しただろう。だが何回見ても数字はなかった。


 俺は落ちた。


 家に帰る途中電話が鳴った。塾の先生からだった。

「もしもしー?どうだった??」単刀直入に聞いてきた。

「いやーだめでしたね…すいませんでした。」

「そうかー分かった。また会えるとき会おうね」そう言って電話は切れた。こんなところで報告することになるなんてなー…合格してたら今頃、ここで裕希菜に告白してたんだろうな〜…この橋の上で…

 家に帰る途中お母さんが飛び出てきた。

「どうだった!?」

 俺は首を横に振る。

「ごめん…お母さん」

「よく頑張ったよ。和亜樹…」

 お母さんは言葉を失って悲しそうな目をした。

 俺はそのまま部屋に入った。


 携帯を開き、裕希菜にLINEをする。

「ごめん裕希菜。俺合格出来なかった。俺、落ちたら中学の時の友達と関わるのやめるって決めてたんだよね。また夢を叶えたら、会ってくれないか?。一年間本当にありがとう。裕希菜のおかげで成長出来た。

 ごめん。やっぱり一緒の高校行きたかった…」


 返信はすぐ長文で帰ってきた。


「和亜樹の数字がなかった時本当にショクだった。確かに和亜樹は南高に行けなかったけどさ高校は大学に行きやすくなるかどうかなんだよ。和亜樹が東洋で頑張って大学行けばいい話だよ。和亜樹はさ中学一年の時とか勉強しなかったじゃん、なら次は必死に勉強すればいいと思う。それで和亜樹の夢叶えなよ。和亜樹の夢はなに?和亜樹がそう決めたなら、夢叶えてまた会おうよ。うち、待ってるから!!!」

 俺は読み終わってから崩れた。目に溜まっていたものが一気に流れ出した。

 大切な人を失った。そんな気分だった。

 膝を抱えて座りこみ、俺は静かに携帯の、連絡先を全て削除した。真っ暗な部屋でただ一人泣いた。

 それから空を見たのは十日後だった。体重は3キロほど落ち、少し動くだけで苦しくなる。十日ぶりに風呂に入り、ちゃんとしたご飯を食べた。胃袋が小さくなっていたのか全然食べられなかった。

 こうして俺は中学校の時の友達と全ての関係を断ち切り、東洋高校での高校生活が始まった。

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