2016年 12月〜

第10話 死ぬ気で

 十二月に入ると俺は死ぬ気で勉強するようになっていた。

 朝の四時までに起きる。五分後には机に座り数学の問題を八時まで解く。着替えなどをして八時十分に家を出る。朝食は登校中に右手に単語帳を持ち、歩きながら勉強しつつ食パンを食べていた。

 そして学校では休み時間もトイレ以外は単語練習をして、移動教室の時は単語帳を常に持って行った。

 学校集会の時も単語帳を持って行き、校長先生の話を聞きながら先生にバレないようにこっそり勉強していた。

 給食の時間では右手で箸を使い左手で丸付けをするという新技を使っていた。

 家に帰ってすぐ四時から七時まで勉強をする。八時までの一時間で夜ご飯とお風呂を済ませ、八時から十時まで暗記系の勉強をするという常に勉強生活をしていた。一日の勉強時間は平日で休憩を挟んでも八時間前後だった。周りと同じくらいやってても追いつかないと思い、できるだけ勉強した。

 クリスマスも、お正月も勉強した。そのせいか腰痛で悩んだ。シャーペンを持つと毎回当たる中指の指先が炎症を起こした。

 具合悪くなることが何回もあった。

 日記なんてもうどこに行ったか分からない。

 途中で挫折して、もう諦めようと思ったことも何度もあった。だがそんな時は毎回、裕希菜が励ましてくれた。裕希菜のおかげで頑張れた。

 ゲーム類のアプリは全て消した。

 いきなりやる気がなくなる時が何度かあったが、そんな時は部屋のドアに「お前ならできる」と書いてやる気を出したり、動画サイトで名言などを見てやる気を出した。

 地理では、大きな日本地図を部屋に貼り、山脈の名前、川の名前などを付箋に貼り覚えた。

 英単語も覚えられないものは付箋に書きいたるところに貼り付けた。

 家族との会話で、簡単な英語で話すようにした。水を一杯ください。とか今からお風呂に行きます。などだ。

 寝る前に覚えて朝起きてすぐ確認すると、毎回しっかり覚えられていた。それが毎回嬉しかった。辛くて大変だったがなんだか楽しく感じた。

 そして、二千十七年の二月。俺は最後の模試を受けた。結果は総偏差値が五十六になっていた。東洋高校はS判定。S判定は余裕を持って合格。だ。そして肝心な南高校は受験一ヶ月前にしてC判定だった。C判定は合格射程圏内。だ。だが波に乗っていた俺は今から上がると信じ、気にしなかった。ただただ、ひたすら勉強した。






 そして二月の中旬。









 俺は東洋高校の受験に望んだ。


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