創作者の死へと至る移行と過程
大会まで一週間を切った。
作品は二作目からまだ出来ていない。
もういいや。 しょせんは俺なんかただのオッサンだし、ていうかメタボだし、むしろアヘ顔好きなちょっと変態だし、しょせんはこんなもんなんですよ。
ああ、そうですよ! そうなんですよ! しょせんは駄目人間なんですよ!
しかも大会エントリー時の躁状態から欝へと移行し始めてくるし、万策尽きたわ!
こうなったらステージ上で素っ裸になってラブマシーンをフルコーラスで踊ってやろうかなんてことまで浮かんできますよ。
まあ冗談はさておき(半分は本気だけどね)さすがに初出場で優勝するまでは行かないだろうから、足りない分は既存の作品から選ぶかもしれない。
たださすがにせめてもの意地としてもう一作品をつくりあげることとしよう。
テーマは相変わらず暗い。 また自己の凄惨な過去と創作をするその理由を誠実に書き上げた作品にすることにした。
ところで前に読んだ本の中で人が死に至る病へと直面したときには複数の過程を経るらしい。
せっかくだからこの一ヶ月間の間に感じた感覚がそれに近いように思えたので記してみよ。
1 否認と孤立。
いま思えば写真を撮るために下半身をあらわにして写真を取ろうとした行為はこれにあてはまるのではないか?
直面した自身の限界にたいして俺はそれを認めたくないと足掻き、ただ一人で悩み続けていた。
そしてそれを乗り越えようと顔写真を撮るさいに下半身をフルモンティにしようとしていたのではないか?
それは書けないという逃れられない何かを否定しようとした創作者としての自己防衛でありそれゆえの蛮勇ではなかっただろうか?
2 怒り
オーティンティンを曝け出そうとしたが、それすら出来ず、結局は普通に写真を送った自分に対して俺は怒りを感じていた。
これはどうしようもない自身の限界に対してだった。 そしてそれゆえに一人では抱えきれないその理不尽な怒りを犬の糞を片付けないという飼い主や世間のモラルに対して憤ったのではないだろうか?
いま思えば自分自身、決してモラルをもった人間とは言えないのに、それを棚上げしたある種、情けない行動だったなと自戒しようとも思う。
3 取引
私なんてものは所詮は社会不適合者なんですよ。 だからといって、無頼漢気取って自堕落に突き進むのも意味が無い。
美学? そんなものはないですわ。 正直に言えば何も欲しくはないんですよ。
ただ、このまま頭の中にこびりついたものを出さずにくたばるのも何かスッキリしねえから、こうやって駄文だか愚痴だか私小説だかわかんねえものを書き連ねてるわけなんだね。
ほら、これが最後なら腹の中にクソ詰めたまま腐っていくのもなんかアレじゃん?
別れる前に一発やらしてくんねえ? みたいな最低な男みたいな願い。 それすらも物語やらに塗れて大嘘ついてくたばりたいんですよ。
だからまだまだあがきますわ。
真っ当な手段が駄目なら、次は真っ当じゃない手段で脳みそ動かすしかないですからね。
向精神薬? あれは駄目ね。 精神安定剤なんて創作には直接プラスには働かないね。
あっ、でも欝で脳髄焼き切れないために無理矢理止める為には有効だと思います。
そんじゃ試しにウイスキー一気いきますか! 混ぜ物なんて邪道、男ならストレート一気ですわ。 コンビニでニッカ小瓶買って来てそのまま飲み干しますわ。
喉が焼ききれそうなくらい熱いので水を三口飲んで冷やします。
その後はレッドブル三本一気ですわ。 カフェインとアルコールの相乗効果でリミッターぶっ壊してみてさあ、どうなるかな?
30分後 泥酔通り越して別世界ですよ。 テンション上がりそうだけど心臓バクバクです。
心地よい? というよりもただの自殺行為に近いですね。
アルコールなんて数ヶ月に一回飲むか飲まないかくらいかな? いい感じに聞いてます。
いや効いてます。 身体は重たいわ、冷や汗がでるわ。 身体も震えてます。
深い深い、っていうか超絶に不快だよ! 凄い勢いで脳細胞と肝臓がぶっ壊れていくのを感じてます。
きてます。 きてますよ! 限界を超えて何飲んでも水みたいにしか感じません。
心臓は8ビートどころか16ビートでハードロックですわ。
やばい、僕死んじゃうかも? でもまあこれくらいしないと壁が崩せないのよ。
何も出来ないなら死ねばいいんですよ。 これを乗り越えられたら、何か思いつくかも?
心はサイヤ人。 死のふちから蘇ったときには人間何か変わるものですよ。
そう信じて、ニッカ小瓶二本目投入ですわ。
だってほら、ここまでしたら何か得ますよきっと、出来なかったら死ぬだけなんですよ、頭がほら、いい感じにほぐれて弛緩して……、LLのああSふぁSJ
ここまでが24時間前、ニッカ小瓶二本目をいれたとこまでは覚えてますけど、気が付いたら部屋の中で倒れてました。 気絶したのか良い潰れたのか?
正確に言えば気が付いたのは六時間後、そこから同じく六時間トイレでひたすらはいてました。
人間あそこまではけるんだね。 体中の血ごとだしてんじゃね? と思えるくらいに吐き続けましたね。
二日酔い、マジヤバイね。 ああ頭が痛いな~とかじゃなくて、痛みで気絶するくらいですわ。
あらかじめ買っておいたポカリ2リットル全部飲んで、全部吐き出したわ。
まる一日たってるのにまだ頭が痛いわ。 っていうか明日の仕事やばそう。
死ぬかと思ったけど、僕、生きてます。 創作? できてませんわ。
まあ当たり前といや当たり前なんだけどね。 でもまあアルコールで固まった想像力が今回はいい方向にはいきませんでしたね。
失敗。 失敗。 でも不思議にスッキリしてるわ。
とはいえ書きかけのやつは何とか完成しました。 ただテーマが被るのでこれも没かな?
というわけで足掻いて自分の命をかけた取引は無駄でした。 これ読んだ人はマネしないようにね。
4 抑鬱
自身の限界を察したことで俺は抑鬱だったと気づいた。 まあもともと暗いし、躁鬱傾向だからわかりきったことではあるのだが、あの自分だけが何も出来ないで惨めに終わるのだという感覚はまさにこの感覚だった。 だがその過程も過ぎてしまえばよい思い出となる。
そう、死を受容しはじめた人間がそうであるように。
5 受容
これは今回の項目が当てはまるだろう。 いかに足掻き、否定しようとも大会はやってくるのだ。
ここから新しいテーマや自身の限界を超えられるほどには俺はもはやわかくない。
ただ実はいまこれを書いている状態はそんなに悪くない。 俺はやるべくことをやった。 たとえそれが誤魔化しだとしても、もはやどうにもならないのだ。
だがここに来て題名を否定するようだが、俺は死ぬわけじゃない。
たとえ十分な用意が出来なかったとしても、生きている以上は次があるのだ。
だ~か~ら~、もうしょうがないの! 開き直りだと自覚してはいるが、それはそれでこの状態はこれからに役立つだろう。
全ては無駄ではなかった。 なるほど死を受容する(その切実さは比べようも無いが俺は大真面目だ)とはこのような心持ちなのだなと理解することが出来た。
俺には才能が無い。 そしてそれをカバーするための肉体的な時間も少ない。
だが才能が無ければ創作はしないのか? そんなわけが無い。
俺は俺が好きな物を書きたいし、表現し、ここに書き連ねるのだ。
たとえ今までの抵抗が無駄だとしてもそれは決して無駄ではないと信じている。
たとえこれが自身の才能の限界を知らされようともだ。
そしてこれこそが受容という過程を迎えた一人の創作者の終焉の記述だとしても……。
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