しまった!「生産性」がない!

ネコ エレクトゥス

第1話

 本当に「彼ら」には生産性がない。といって今話題になっているように性的少数者のことを言っている訳ではない。でも間違いなくその生産性のない「彼ら」は存在していて、「彼ら」こそが問題なのだ。ではその「彼ら」とは?

 四十代独身生活者。

 こんな話をどこかで聞いたことがあると思う。

「初代が財を成し、二代目がそれを広げ、三代目がそれを食いつぶす。」

 四十代独身生活者たちがこの三代目に当たる。


 「彼ら」は生まれた時から楽しいものに囲まれて育ったのだ。そしてそれらを享受し、消費することに生涯を傾けてきた。その結果として「生産」しない人種になってしまった。僕の意見に疑問があるならばテレビの世界で「面白い」と言われている人たちがどの世代に集中しているか見てほしい。彼らはいろんなことを知っている。それは彼らの享楽生活の副産物。そして「生産」しない人たちがどれだけ混じっていることか。

 だが「三代目がそれを食いつぶす」ということが世界中で昔から言われてきたということは、それは誰か個人の責任というより、人間の活動の周期の一部として遺伝子に書き込まれたものと理解した方がいいのだと思う。人間なるものが存在する限りこういう世代がどこかで必ずやって来る。しかしそれはあくまで世代の問題で、次の世代、今の三十代より下の人たちには「生産性」が回復しているように見える。街中で子供を三人ぐらい連れて歩いている若い夫婦をたまに見かける。それなら特に気にすることもなく世代のサイクルに身を任せるのが正しいのだろう。さらに言うなら先程のテレビに出ている「面白い」と言われている人たちのように、この世代の生活享楽者だからこそ可能な分野があるのだ。


 それにしても残念なことに、いや、幸運なことに今の三十代から下の人たちは全く面白くない。

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