第3話

僕は名を名乗りフッと隣の少年の顔色を見るとあまり顔色が良くない?


「疲れた顔をしている?スキル〈鑑定〉」


リオのMPが余り残っていない。恐らく魔力石で消耗したのだろう、僕はカバンの中からマジックポーションを出した。


「これを飲んでくれ魔力が凄い減っているじゃないか」


「ありがとうございますレンさん。俺の名は「リオン」リオって呼んでください」


「私は……アリス……ありがとうレン……」


リオにマジックポーションを渡し、アリス達のお礼を聞いた後


老人の方を見た。老人は歯軋りをして怒りが顔から出ている余程悔しいのだろう。


「もう別れの挨拶は済んだかネズミ共さっきはよくも私の兵隊をやってくれたなぁ!お前達やれ!!」


兵隊は武器を持ち何千の兵が向かって来たが僕はソード形態のマグナを構える。ここは強気の「俺」で行こう。


「俺はアズマ=レン、行くぞ!」


レンは走りだすと兵隊の中央に入るとマグナに風属性の魔力を注ぎ込む。疾風がレンの周りを包む。


「《サイクロンソード》!!」


風属性の魔力を解放すると竜巻が兵士を襲い竜巻の刃が切り刻む。


他のギルド・アズマのメンバーは次々と兵隊を倒して行く。向かって来る突撃兵をホノカとロゼが対応する。

    

「あの兵隊を拘束するぞホノカ!」

「ガッテン!ホノカお姉さんに任せなさい!」

   

   

ギルド・アリアンソードもアズマに続いて月光に照らされた砂浜を駆ける二人の少女は兵隊達の中に突撃した。




月の光りに照らされた砂浜でリオは魔力が回復すると隣にいたアリスは安心するが、老人ウンサはぐぬぬっと悔しい表情をしてこちらを睨む。


「私が負ける事はない!まだまだ500人の兵士を持つこの私が負ける訳がないわ!!」


奴隷商人のウンサの話しを聞き、リオは兵隊に突入するレン達の戦いを見る。リオは笑みを浮かべる。

「何が可笑しい!?小僧!」       

「レンさん達にとってそんな数の兵じゃあようだ」


「何だと!?」


老人ウンサはリオと同じ方向を見る。砂浜に埋め尽くすほどの数の兵隊は全員気絶していた。


「魔獣の捕獲にコッコの捕獲依頼よりもこっちの方が簡単ですねセレナ様」


メイドのミュウは双剣の「エクゾダス」の特殊能力〈幻の悪夢〉を発動させていた。5キロ圏内を強制に眠らせ。状態異常「悪夢」にさせると相手の魔力を吸い上げ自分の体力を回復させる【魔剣】の一種だ。


「まだまだ行くわよみんな!」

「はい、セレナ様このミュウ全ての兵を狩ってみせます」

ミュウはセレナが魔法を発動させるまで守りながら戦うスタイルで行く。セレナはミュウが兵士を相手してくれるお陰で安心して魔法を発動させることが出来る。


これが【コンビネーション】であり、ギルドの強みでもある。


老人ウンサは口を開けたまま固まっていた、あれだけの数の兵隊を一瞬で片付けられたのだ。


ウンサは我に返りポケットから銃をだすと空に向かって撃つと空が緑色の光りが見えた。


すると海側の方から何隻もの船がやって来る。ウンサは新たな兵を呼んだのだった。レンは海の方に向く。


「さぁまだまだ兵隊が来るけど、どうした物か」


レンはマップで確認する敵マーカーは船から多数反応している近くに敵も潜んではいない事を確認する。

(あの船で最後みたいだリアラ何か召喚獣で人の命を奪わない程度の) 

(そうですね幸い海の上なので雪の妖精を呼びましょう!)



「了解!」


レンは召喚石をカバンから出し手に持つ【召喚獣】一覧のメニューを開き召喚獣を選択した。


「全てを凍てつかす氷の精霊よ!我の声に答え姿を出現せん、召喚!!【スノーユキカゼ】!!」


レンの前、氷の精霊スノーが現れる姿は少女の様であるが、背中には氷の羽に小さい水晶玉が浮かぶ。人とは違う感じがあった。



「ゆきかぜ!あの船を凍らせて欲しい乗っている人達は危害を加えず」


「フル~ル~♪」


ゆきかぜは指示を聞くと、両手を前に出し光線を放つ、すると海面はみるみると凍りつき船は全て凍り漬けになった。


「凄いこれが召喚なのですね!」


アヤメは初めて見る召喚に驚くセレナとホノカは気絶している兵をロープで縛りあげ身動きとれなくした。


「さぁどうする老人どの、いや!奴隷商人ウンサ。おとなしく身柄を拘束こうそくさせていただこうか!」


ロゼはその老人、いや、奴隷商人ウンサを知っているようだ。


残っている兵隊はウンサの周りに4人いるがそれ程の脅威ではない、ウンサはポケットから何かの石を取り出す。


「こうなれば!!いでよ我の下僕よ!!」

「召喚石!?」


ホノカは驚く。ウンサの目の前に召喚獣を喚び出す。現れたのは巨大なカニだった。しかし普通の蟹と違ったのは手はハサミでは無く。両方剣だった。



「やれソードキャンサー!!あのネズミ共を倒せ!!」


グププ!!


ソード・キャンサーは両方の剣をセレナ達の方に振り下ろすが、セレナは既に魔法を発動させる用意はしていた。


「いでよ我が盾〈ホーリーシールド〉!!」


ソードキャンサーの剣を光りの盾が防ぐ、セレナ達はキャンサーを囲むように配置に着いた。


「戦術・バースト発動。頼むミュウ!」


【戦術・バースト】とは、レンのスキル〈チームワーク〉と同じように仲間と連携して使うスキル〈戦術・バースト〉がある。これは身体強化を高めるだけではなく技、魔法、能力、を大幅に強化することが出来、仲間と連携する人数が多ければ多い程より強化される。



「私から参ります。《インフィニットブレイド》!!」


双剣クロスソードを使うミュウはエグゾダスを投げると長剣はそのまま宙に浮いたままソードキャンサーの全身を切り刻んでいく。甲羅の上をピョンと跳ねるレムはソードキャンサーの真上で飛ぶ。


「いくよー!《あくあすぷらっしゅ》!」


レムの手から大量の水が放たれるとソードキャンサーの体に当てる。次の魔法発動させるセレナは杖を掲げて叫ぶ。


「凍って!〈アイシクルランサー〉!!」


凍りの槍が何本か現れキャンサーの体に飛んでいき凍りの槍がソードキャンサーの足部分が凍っていきキャンサーの動きが鈍った。


「ロゼ!!」


「ああ、任せろ、レン!この一撃に賭ける!!」


                       

ロゼの持つ二つの魔砲銃を連結させて魔砲銃ロングライフルにさせるとスコープを覗いた。


「ロゼちゃんに力を!《ブレイブシンフォニー》~♪」


ホノカの【職業】「シンフォルディーヴァ歌姫」歌う事によって味方のステータスを強化。または味方に能力の補正を付けることが出来ホノカはロゼの攻撃を大幅に強化する。


「なんだと!?ソードキャンサー動け!」

「無駄だ!ウンサ!テメェーはここまでだ!」


海賊の少年リオが言う。この戦いでソードキャンサーを出したのは間違いだった。それはを兵士に見せてしまうからだ。既に兵士の何人か諦めて武器を捨てる。




「消え去れ〈デッドエンド・ブラスター〉!!」


ロゼの魔砲銃の銃口から闇属性の魔力を持った、魔弾が放てられ、ソードキャンサーの顔の正面から後ろに貫通して突き破り。ソードキャンサーは光り輝き消滅した。


セレナとホノカはハイタッチして、レムはレンに抱きつきくとセレナは勝利宣言する。


「私達の勝ちよ、大人しく降伏しなさい、ウンサ」


「そんなぁぁぁぁーー!!!?バカなぁ!!」


ウンサは叫びながら手で頭を抱える。兵士はミュウとクロエラが縄で縛って捕まり残るはウンサただ一人だった。


「もう観念しろ!ウンサ!!」

「だまれ小僧!お前達あの少女はいい!?あの少年を倒せ!」


残った兵隊がアリスの隣にいるリオに剣を向ける。隣にいたリオはアリスの前に立った。リオの後ろ姿を見るアリスは彼を止めようとした。


「リオ!逃げて!」

「大丈夫だアリス」


ウンサの兵達が動きリオを襲う。しかし兵士の一人が気絶して倒れると次々と倒れる。リオは【魔導銃】で兵士を倒す。


「魔砲銃!?いや形が違う!」

「これは古代の遺産アーティファクトでな相手に合わせなくても勝手に命中させる。便利な武器だ」


「な!?バケモノか!?」


「バケモノはお前の方だウンサ!!村人を無理矢理奴隷にする。テメェーのやり方絶対許さねぇ!!」


「こ……このネズミがぁ!あの少女はお前の物では無いだろう!!」



ウンサはベルトから短剣を取り出し、リオに向かって突撃するがリオはそれを避け、拳を突いてウンサの顔面に食らわせた。


「グワァ!!」


「なら海賊らしくアリスを頂いていく!!」


ウンサはそのまま倒れ全ての決着がついた。暗い砂浜に光りが射し込む、もう朝がやってきたのだった。


「リオ……ありがとう……」

「アリス、もう大丈夫だ」


アリスからお礼を言われて少しリオはドキドキしていた。


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