第2話

ルーティの街の近くには砂浜のビーチと近くに海の家がある、よく観光客がここの砂浜で泳ぎに来ることもあるらしい。


もうルーティの街は夕陽色に染まり、僕達は市場で夕食を堪能していた。


「うーん美味しい!」


セレナはテーブルに置いてある料理を食べていた、【フィシャーシェルライス】一口食べると香辛料の香りが口の中に広がる。ちなみにこれは日本で言う【パエリア】の味に近い。


「不思議ですねレン様今私達が食事している場所が」

 

「海の中で食事している。なんてね」 


ここ市場には海の中で食事をする場所があり、水の防御壁で作った。水中レストランの様な感じだった。


僕達は食事をしているけどレムとクロエラは食事ではなく防御壁の外で泳ぐクジラやウミガメなどに夢中だ。


「たくさん。お魚泳いでいる♪」

「レム、あの魚七色に光っているぞ!?」

「本当だ!?」


レムの瞳がキラキラと輝きクロエラは泳ぐ魚を目で追いかけている、またお腹が空いたら帰って来るだろう。


「ここの街の依頼で来た時にロゼちゃんと一緒に入ったの」


「ここはとても落ち着く、水中ボールの個室になっているから秘密厳守のおしゃべりではここを使うんだ」

「もう!?堅苦しい仕事の話しはいいよ、ロゼちゃん!」


アヤメはテーブルに置いてある料理を美味しそうに食べる、僕も置いてある料理を食べまた拠点に帰った時に作ってみよう。



するとレムとクロエラは鑑賞を終えて席に帰ってくる。


「レムちゃんお魚楽しかった?」


「うん!ホノカお姉ちゃんサカナすごく大きかったよ」


「レムちゃん。このままギルドに持ち帰りたい!」

「駄目だよホノカ、ほら、隣に座っているクロエラが顔を膨らませている」


「ムー!!」


セレナがレムを抱き寄せホノカも負けずにレムに引っ付くレムは二人に挟まれた。


「済まんな、でもまた君達の拠点に伺っても良いか?レンが所属しているギルドどんなのか興味がある」

「それは嬉しいです、セレナやアンジュも、喜びます」

「アンジュ?その人は?」

 

今ギルドにいるアンジュ達の話しランディ達の話しをロゼやホノカ、セレナ達と話しながら夕食を楽しみ。


その後アーガマの宿に帰り、早めに就寝して明日の円卓会議に備えた。



◆◇◆



助けて!



女の子の声がする?



悪い……襲って……、ルーティの街………


砂浜……ここなら……何?……魔獣!


少女ともう一人の少年が砂浜を走り何かに逃げている映像がそこで止まった。


「うーん何だろさっきの?」

ベッドから起きあがり、さっきの映像?それとも夢だったのか?何かは分からない。


「どうしたのですかマスター?」


目の前にリアラが心配して出てくる。


「さっき不思議な夢を見たんだ砂浜に女性ともう一人は僕と同じくらいの少年が何かに逃げていた」

「マスター少し調べて見ますねもしかすると……あ、やっぱり微かに魔力の痕跡が残ってますそれは夢ではありません誰かが助けを呼ぶ為に魔力を使ったと思います」


さっきのは夢じゃなく、本当に助けを呼んでいたんだ、こうしてはいられない!


僕はすぐメニュー画面のマップからルーティの街の近くの砂浜に人がいないかスキル〈探索〉を使った。反応があれば良いと心配してしまう。


すると青いマーカーが2つあった。映像に流れていた二人かも知れない。しかし魔力反応が一人だけ点滅している。



そして近くには赤いマーカーの数が海岸と砂浜に埋め尽くすほどある。「敵意」のある者や憎しみを持つ者に赤いマーカーが反応するがこれは一刻を争うかも知れない!?


「リアラ、僕はセレナ達を起こしてくるから、リアラは二人の様子をお願い!」

「了解。マスター!」




セレナ達の部屋のドアをノックする。セレナ達は「なんだろう?」っと眠そうな顔でドアから出てくる。レンは先程の理由を説明するとセレナ達の表情が寝ぼけ顔から引き締まった表情に変わった。


     


       ◆◆◆



月が照らす。真夜中の砂浜に二人の少年と少女が走る。


その二人は大きな岩に隠れ、腰を下ろすと息が荒い、少年の体は疲れていた。


少女は少年の体を優しく抱き寄せる。


「リオもう貴方だけ逃げて、私が時間を稼いでいる間に」

「だめだ!アリスまだ諦めないで欲しい。さっきの通信魔法で誰かが助けに来てくれるはずさ」


リオと呼ばれた少年は少女アリスに希望を捨てないでと説得する。アリスはコクっと頷く。


「魔法石無しだとごっそり魔力持ってかれたのが痛手だけどね、早く魔力が回復してくれたら!?」

「誰か助けに来てくれるの私は信じるよ、リオ」


「ほぉ助けに来ると?それは大変だ!すぐにねずみを始末しないと!!」


「「!!」」


リオとアリスの前に悪そうな顔の老人が立っていた。その後ろには沢山の兵隊が並んでいる。恐らくは老人の兵なのだろう。


「ホホォ!ねずみよ。その少女をどう嗅ぎ付けたかは知らんが、黙って大人しくその少女を差し出せば、命だけは取らないでおいても良いが、それは「鍵」を手に入れる為の大切な「道具」なのだからのぉぉ!」


老人の名は「ウンサ・コラサ・ソイヤ」。奴隷商人でありそのボス色々な大陸で罪のない人々を捕まえ無理矢理、奴隷にする。


人族や他の種族を奴隷のように売る外道であった。


「お前の様な奴にアリスは絶対渡さなさい!」


「ぬぬ!?、少女を渡さないだと何が目的で盗み取ったのだ!鍵か?それとも惚れたのか!!」


老人ウンサは握りこぶしを作りながらリオンを睨みつける。


「ウンサ!もう一度最初に出会った時のセリフを言うぞ」


リオは立ち上がると腕のスカーフに描かれたドクロマークを見せる。それは海を旅する者の証そして財宝を求める者の証である。


「狙ったお宝は必ず頂く!!それが海賊の流儀だ!!」


ウンサは歯ぎしりすると手を上げ兵士が武器を構えた。


「えぇい!?もういい!兵士達よ!あの海賊の少年を倒せ!」


兵隊達は武器を構えてじわじわとリオとアリス達に近づいてくる。


(くぅ!アリスだけは絶対に逃がす。誰も助けに来なくても、アリスは俺が守る!!)


「やれー!」


老人ウンサの合図と共に兵士が動いた瞬間。銃弾を放つ音が響く。兵隊達は何人か銃弾に当たり気絶する。


「な!?何者だ!?」


老人ウンサは攻撃してきた方向に振り向く暗い砂浜に月光が照らす。複数の少年と少女達の姿を


「遅くなってごめん。助けに来た!」


アズマ=レンは片手に持つマグナをガンナー形態からソード形態に変える。兵士の何人かレン達に武器を向ける。


「ネズミが一匹増えた所で、まずはあのガキィ共をやれー!!!」


月に照らされた砂浜に埋め尽くすほどの兵隊が集まるとレン達に突撃してくる。


「はははは!私の持つ兵隊の数は5千お前達は終わりだ!」


「《マテリアル・エクスプロージョン》!!」


兵隊達が一斉にこっちに向かって来たが空は夜から昼間に変わる。輝く魔法の円が七つ程重なる。


大量の兵士は巨大な爆発に巻き込まれその大半の兵士は海に飛ばされ、岩にぶつかり中には気絶して倒れていた。


レンの後ろから杖を持ったセレナが夜の砂浜から現れる。マジックポーションを飲み、魔力を回復させた。


「数は多いけど私達の方が一番強いってこと教えてあげる!」


まだ残った兵隊が槍を持って突撃するが水の液体に脚が絡まり転ける。兵隊達、スライム姿のレムが現れる。


レムの後ろからクロエラ、アヤメ、とロゼ達が兵隊に向かって行く。


「イカズチよ舞え!《雷撃一閃》!!」

「《ロイヤルストレートフラッシュ》!!」


アヤメはゲイボルグの放つ雷撃の波動で兵隊を倒しホノカは周りにいる兵隊の身体を魔力の鎖で動きを封じると目で追えないスピードで兵隊達を斬撃で倒して行く。


「我が剣に断てぬものなし!なんちって♪」


ホノカがテヘペロをするとロゼは前に出て銃で兵隊と応戦していく。アリスはレンの方を見た。


「あなた達は一体?」


アリスは先程の大量に居た兵隊達が少数の少年と少女に倒されたことに驚いている。


レンはアリスに声をかける。


「僕の名はレン、通信魔法で君達の助けを呼ぶ声が聞こえてここに来た」


           

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