ある日の珍しき竹内緋色との会話
昨日、先輩と喫茶店で話した内容である。
流石にここ最近ホモホモし過ぎたと反省…してるのやろうね。まだ聖闘士星矢ネタから全員銀髪イケメンしか出ない小説考案などもあったが、来年に持ち越そう。竹内緋色からホモ気質を抜けば、メガネだけになってしまうのだぜ。
その始まりはいつだったのだろうか…
その先輩とは謎に長い付き合いで、去年まで隣の部屋に住んでいて、毎晩なぜか先輩が部屋に来てアメリカンホームドラマを見続ける生活をしていた。本当に謎だったなぁ。
でまあ、喫茶店で先輩はウィンナー珈琲、私はホット珈琲を頼んで待っていた。
ウィンナー珈琲なんて都会に来て初めて知ったものの、未だ口にする気が起きない。というか、もっと分かりやすく、珈琲の上に謎の白いものを載せた謎のコーヒー、みたいなネーミングにすればいい。絶対に飲まないが。
そんなバカみたいなことを考えていると先輩が口を開いた。
「最近、色々と本を読んでてさ」
「ほう」
数ヵ月前に夢野久作のドグラマグラを先輩にあげたので、その関連かな、と思った。
ドグラマグラ、絶対に人にプレゼントしちゃダメだぜ。ある意味日本のクトゥルフと呼べる代物故に。
「相対性理論って知ってる?」
おや?この先輩は竹内緋色がバカだということを忘れたようだぞ…竹内緋色はあらゆる物理法則を否定しているというのに…
そして、先輩の知識披露がはじまる。
電車の中で両端へボールを投げて…
電車の外から見ると、進行方向に逆らうボールはゆっくり動いているように見えて…
光は絶対が故に、光時計なるものは電車の中から見るのと外から見るのとでは同じなはずが同じには見えず…
つまり、時というのは相対的なのだとか…
さっぱりわからなかった。しかし、絶対と相対というのは竹内緋色的素敵ワードだった。
「そもそも、この世界の全ては相対的なんですよ」
「は、はぁ」
今度は先輩が戸惑う番だった。
「そもそも相対的という概念事態が相対的ではない時点でくそくらえな概念なんです。2つの物体なりなんなりが相対的であるためにはまずどちらかを絶対的基準としなければならないわけで…」
話は変わる。
「『国家の品格』って本で、日本の小学校で英語教育をするのは国際人を育てるためでってのを理論的にこう説明してて」
国際人とは英語ができる人間であるとするならば…
英語を話す民族がみんな国際人かと言われるとそうじゃない…
国際人が英語を話せて、英語を話せる人が成功するという確率はどれほどまでに小さいか…
「まず、国際人がどんな概念であるかを考えないといけませんね。というか、国際人ってなんですか。こんな3文字だけで簡単に済ませて重要な定義付けをぼかしてますよ。本当の国際人ってのはどんな国の言葉も話せないとダメで、そんならヨーロッパ系言語のルーツであるラテン語を学んだ方がいいじゃないですか」
「本では国際人ってのは言葉が話せるよりは自国の文化や伝統を語れる人間が…」
「英語て、あんな島国で独自に変化した言語、ラテン語もどきで他の言語に対応できないですよ。世界中の言語に対する日本語みたいなもので…まあ、日本語のルーツはモンゴル系の言語でして、恐らく3~4世紀ごろモンゴロイドが運んできたんじゃないかと…
あ、文化の話ですか。そもそも、文化ってのは人の生活の営みによって日々変化し続けるもので…それは伝統も同じです。現在に適応できない伝統は伝統ではなく、古来よりの文化を伝統とするならば、伝統もまた、日々変化していくものなんです。そもそも国際人が自国の文化や伝統を語れる人間であるならば、それは文化学の教授くらいですよ。そもそも日本という国は交通の便の悪さによる閉鎖的生活により、伝統や文化は多岐に渡っていて…」
「いやまあ、その本の人はナショナリズムには否定的で」
「そもそもナショナリズムってなんでしょう。一々言葉にして自国と他国を分けてこういう独自のものが、という感じで右翼的に言って。自国に自身を持つのはいいですけど、自分からこの国はマジでええやろって自慢するより、まあ、こんな国やでって感じで紹介して、日本を体験してもらって、の方がいいと思いますよ」
「でも、自分の国の歴史を語れないと…」
「私は歴史に否定的です。そもそも歴史なんて、実際自分が体験してないのだから信じるに値しないです。それに、歴史は時の支配者によって塗り替えられるものです。もし来年急に日本が共産主義になったとしたら、民主主義時代――明治維新から否定的な内容になるでしょうね。一体何人死んだとかそういうのばかり強調されて、逆に第二次世界大戦は戦果や戦争に至らなければならなかった経緯を大々的に教科書に載せるでしょうし。自分が覚えている以上の記憶、それ付随する感情こそ歴史と呼べるものであって、歴史なんて教えるものではなくて感じるもの、自分自身の胸の中にあるものですし…」
「もうそこまでいくとなにがなんやらわからなくなってきた…」
「話を戻しますけど、ラプラスの悪魔という理論があって、それは現在否定されてるんですよ…で、その理論というのが…」
こんな感じのことを2時間です。
竹内緋色は普段相槌をうつ程度なのですが、どうも今回ツボにハマったようです。
「ラプラスの悪魔ですけど、これは物理的法則から…」
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