経緯
八坂神社はここから歩いて10分位のところにある。
僕は少女と歩きながらなぜ勾玉が無くなってしまったのか知りたかった。
「あの、もう少し詳しく説明してくれませんか」
「あなたさっき私の説明を全然聞いてなかったじゃない」
こやねさんは機嫌が悪そうだ。
何とかしないと。
「ごめんなさい。突然のことだったから驚いてて。
あ、まだ僕のことを話してなかったですね。僕は…」
「あなたの名前は坂本拓也、年齢は26、浜松エトロニクスの営業部に勤務、最近始めた神社巡りでここに来たんでしょ?」
「え!?なんで分かるんですか!?僕何も話してないのに」
「そりゃ分かるわよ。
神様舐めないでよね。
あと人を見た目で判断するのよくないわよ。だから彼女もいないんでしょ」
「彼女は関係ないです!まだ出会いがないだけで…。会社も男ばかりだし」
「もっと頑張りなさい。
歳はあっという間に過ぎていくわよ」
ここまで個人情報が筒抜けなのかと驚愕してしまった。
それならアドバイスの一つでも欲しかったのだが。
「今回のことの経緯が知りたかったんだっけ?
簡単に言うと、昨日神社で祭りがあって本殿の扉を開けていたの。
そうしていたら奉納されている勾玉が無くなっていたの。
勾玉が無くなると神社のパワーバランスみたいなのが不安定なるのよ。
それで災いが起きる前に取り戻したいってわけ」
「そうなんですね。それで八坂神社が怪しい理由はなんですか?」
「勾玉は願いを叶える力があると言われているから、心当たりがあるとすれば八坂神社にいる
あいつ勾玉欲しそうだったし」
神様も内輪揉めとかあるのかな。ご近所トラブルみたいな感じなのか。
「じゃあ、八坂神社に行ってあめのさんから返して貰うんですね」
「すんなりいけばいいけどね。
曲者だからあいつ」
「他の神社の神様もこやねさんのように人になっているんですか?」
「んー、そんなことはないと思う。
あと、こやねさんなんて初めて言われた。
まぁいいわ、好きなように呼んでちょうだい」
それじゃ話す猫とか犬がいるってことなのか。
すごく楽しみになってきた。
「そろそろ八坂神社に着くけど、基本的に私に任せて。
坂本は、何か気になることがあったら教えてくれればいいから。
完璧な作戦でしょ?」
何が完璧なのか分からなかった。
僕は本当に必要なのだろうか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます