選別

晴雲かすみ

プロローグ


一時帰宅していた被害者の長女は突然戻って来て、警察庁の受付に何かを包んだ新聞紙を置きながら呟く。


「私が、父を殺しました。」


その言葉に息をのんで警官はその新聞紙を開くと、そこには事件現場である自宅から見つからなかった先にドス暗い血が付着している凶器と思われる包丁。



「岡森 雪子、父親殺害の容疑で現行犯逮捕する。」



長女は、そっと青白く細い両手首を差し出す。


カチャリと慌ただしくつけられた手錠を静かに見て、彼女はフッと微笑みながら一粒の涙を零した。

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選別 晴雲かすみ @millyou

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