第44話 みんなのプロポーズ!

今猿いまさるさんから電話をもらい、笹野ささのさんと別れたと聞いた……。


別れた理由は僕のせいではないと言っていたけど、今猿さんはやさしいから、きっと本当は僕のせいなんだろう。


しかし、これからどうするべきか……?

…………

…………

…………

…………

プロポーズだな!


とりあえず既婚者に聞いてみよう。僕はTOINしまくった。


葛城縁くずきえにしの場合

TOIN 縁

『プロポーズか? 家で酒を一緒に飲んでた時に「そろそろじゃないか?」「そうだね」みたいな感じだったな』


縁のは長年付き合っているからこそ出来るのであって、僕には出来ないな。


高梨光雄たかなしみつおの場合

TOIN 高梨先輩

『俺の場合はみなみと喧嘩してな。結婚相談所まで追いかけてくれて、お見合いして、そこで「結婚しよう」と言ったんだ』


うーん。笹野さんの性格上これはあまり出来ないな!

たぶん追いかけてこない気がする。


桂雄也かつらゆうやの場合

TOIN 桂

『僕はっすね』


桂はいい。見たから


TOIN 桂

『言わせてくださいよ!会社の屋上で花束を持って「桃井ももいちゃん結婚しよう」って言いましたよ』

うん。知ってる……。


桂は授かり婚だしあまり参考にはならないな。でも花束はいいかもしれないな。


橘力たちばなりきの場合


TOIN 力

『うーん。本を探している時にお腹がすいてコンビニの味噌汁食べていて、「光さんの作った味噌汁毎日飲みたいです! 」って言ったよ』


このセリフならいいかもしれないな。シチュレーションが難しいけどなあ。


榎本春男えもとはるおの場合

TOIN 榎本さん

『聞いちゃいます?僕離婚してるんですよ! 思い出の場所に言って「これから一生いてください」って言ってプロポーズしましたけど、すぐ別れましたよ』


なんか悪いことしたな。離婚したからあまり参考にならないけど思い出の場所はいいな。


「これで既婚者(婚約、離婚も含めて)全員に聞いたな」


「おいおいおい!わ・し・は? 」

権蔵が話しかけてきた。


「異世界人で何人も妻がいて100年以上前の人なんて参考にならないよ」


「恋愛に時代も世界も人数も関係ないはずじゃ」

いや。人数は関係あるだろ……



柊愛長ひいらぎつぐなが(権蔵)の場合

「まず正室のお花華かかからじゃな。見合いで出会ったんじゃな。わしの家の庭で『わしの妻ならないか?』と言ったんじゃ」


「うーん。上から目線すぎるなあ」

ちょっと……笹野さんには僕は言えないな!


「次は側室の川山かわやま殿じゃな。郷混で出会ってな。帰り道にな。婚姻の書類を渡して、『ここに書くのじゃ』と言ったんじゃ」


「情熱が足らないよな」

一生に一度のプロポーズ。せっかくなんだからもっとロマンチックな方がいいな。


「男のくせに細かいのう」

権蔵はブツブツ呟いている。


「女性が喜ぶお言葉のがいいですよね」

はこべさんは僕の気持ちをわかってくれたようだ。


「次は側室の佐原さはらかたじゃな。結婚相談所で出会ってな。結婚相談所で『結婚しよう!』と言ったんじゃ」


全部婚活かよ! 側室も婚活で選べる世界ってすごいな。


「『結婚しよう!』はみんなやってるし、人と違うのがいいな」


なんかありきたりなんだよな。ストレートでいいんだけど。


「次は? 」


「で、終わりじゃ! 」


「権蔵には書物ではあとひとり側室がいるはずだろ?」

権蔵は顔を真っ赤にしている。


「たぶんそれ、私ですね。側室になる予定だったから書物には残ってるはずです。」


ははーん。読めたぞ。はこべさんへのプロポーズは恥ずかしいから権蔵は、言いたくなかったんだな。


「愛の告白のこと教えてくださいよ」


「綺麗な桜並木のところで『世界で一番愛している!わしには、はこべしかいない。はこべのいない人生は考えられない! 一生大事にするから一緒にいてくれ! 』って必死に言ってましたよ」

僕と、はこべさんは笑った。


「いいじゃん。情熱的で。あははは」

僕が笑うと、権蔵は真っ赤になっている。


「笑いすぎじゃ! ふんぬ! 」


─ガーン!


権蔵がなんか唱えると僕の頭にタライが落ちてきた。


「いてえ!」

僕は自分の頭をさすった。


いつもと立場が逆だな。


「さっさと笹野ありすに連絡せんか! 」


「分かったよ! 」


TOIN 橘 権太たちばなごんた

『明日映画を見に行きませんか? 』


TOIN 笹野さん

『行くよ。何時がいい? 』


TOIN 橘 権太

『10時でよろしくお願いします』


TOIN 笹野さん

「了解」


なんだかそっけないなあ。照れてるのかなあ。


それとも今猿さんと別れてやはり辛いのかなあ?


お花見に行った桜を見て、ファミレスに行き、思い出の映画館に行って、学校に行く。


服は婚活の時に選んでもらった服を買ったし、花束も買った。


いよいよプロポーズだな!

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