第22話 桃井編 女子会

お久しぶりです。桃井ももいです……今はもう籍を入れてかつらで……皆藤かいとうさんも今は高梨たかなしですが、分かりにくいので旧姓で呼び合います。


今日は雄也さんと高梨さんには外で食べてきてとお願いしてあります。

なぜなら今日は女子会をするからです!


笹野ささのさん……いえ……今は小豆沢あずさわさんが解放されたので、如月きさらぎさんが『今何がしたい』と聞いたら『パーと騒ぎたいかな』と小豆沢さんが言うので如月さんが私に電話してきたのです。すぐ昼間のうちにメンバーを集めうちで女子会を開くことにしたのです。


皆藤さんはナポリタンを作ってきてくれました。

如月さんは小籠包しょうろんぽうを買ってきたそうです。

小豆沢さんはビーフストロガノフを作ってきました。

私、桃井は竜田揚げを作りました。


「みんな……すごいね!私は全然料理ができなくて買ってきたわ」

如月さんが豪快に手を合わせて謝る。


「小籠包おいしい!私もあまり得意じゃなくて……簡単に作れるのを買ってつくったの」

皆藤さんがてへへと笑っています。


「行列の出来るお店の限定50個の小籠包買ってきたのよ。ナポリタンも竜田揚げもおいしい! 」

如月さんがもぐもぐと食べています。


「ありがとうございます」

私は褒められて嬉しくなりました。


「ほんとどれもおいしいね~」

小豆沢さんは静かに食べていました。


私は小豆沢さんの作ったビーフストロガノフを食べました。驚きました!プロが作ったのかと思うぐらいおいしかったです。


「このビーフストロガノフ超おいしい」

「お店のよりおいしいかも」

皆藤さんと如月さんが驚いています。


「ほんと……旦那様になる人が羨ましいです」

今日はただの女子会ではないです。笹野ありすさん……いや小豆沢蔵子くらこさんの本心を探るための女子会ですよ。


「やっぱりたちばなさん? 」

皆藤さんは今は小豆沢さんが今猿いまさる社長と付き合ってることを知らないみたいです


「今は蔵子はまこと……今猿と付き合ってるの」

如月さんが慌てて皆藤さんに教えていました。


「うそ! あの…うちのダーリンの社長だった人? 」

皆藤さんが驚いています。


「今、すごい橘さんにアプローチされてますけど、今猿社長と橘さんどっちの方が好きなんですか? 」


「桃井さん……その話はやめようよ」

小豆沢さんは如月さんのことを気にしているようです。


「私も気になる~教えて! 」

如月さんが興味津々です。


「誠……一筋かな。大事な人だから」

やっぱりもう橘さんのことなんてどうでもいいんでしょうか。私に橘さんを諦めさせておいて……橘さんと幸せにならないなんて悔しいです。


「蔵子……嘘ついてるでしょ……?何で橘さんのプレゼントを拾ったの……? 本当のことを言って」

如月さんが小豆沢さんに真剣に言っていました。


「皆藤さんはどう思いますか? 今猿社長か橘さんか? 」

私は難しく考え込んでいる皆藤さんに話しかけました。


「やはり今猿社長が攻めで橘さんが受けですね」


「「「ん? 」」」


その場にいた全員が固まりました。


「なんでもないよ! 」

「いいじゃない! BL! 」

如月さんが豪快に笑いながら言いました。


「そうだよ」

小豆沢さんも微笑んでます。


「そうですよ! 小豆沢さん! で、何で拾ったんですか? 」

私は小豆沢さんに話を変えさせません。


「うーん。なんか放っておけなかったのかな……なんかこのままにしといたらいけない……みたいな」

珍しく小豆沢さんが歯切れが悪いです。


「やっぱり心の底では橘さんを愛してるんだね」

皆藤さんが目がキラキラさせて言いました。


「そうかもしれない……」

やっと小豆沢さんが認めました。


「でもそれ以上に……誠は大きな存在なんだよ。私が橘さんの誕生日のプレゼントを拾った時も怒りもしない。優しすぎるの……誠は。だからこそ離れられない」


何となく一瞬笹野さんに見えました。やはり本質は変わらないのでしょうか? これは今猿社長の方がまだ有利ということでしょうか……。愛してるなら橘さんの方に行けばいいのに……


「それはそうよね。誠は本当にやさしいよね」

如月さんは何か考えているようです。


「橘さんと今猿社長同時に危機があったらどっちを助けますか?」

もう! 橘さんがグズグズしてるからこんなことになったんです!ここは『橘さん』と言って欲しいです!


「橘くんかなあ」

意外とあっさりと言いました。


「誠は自分でなんとかやると信頼してるからな」

うーん。予想外に今猿社長との絆はなかなか切れないようです。


「いいなあ。そこまで分かり合えて……私はダーリンの笑うツボが全然わからないよ」

皆藤さんが小豆沢さんを羨ましがってます。


「うちは束縛が激しいです。男性と話すとすぐ不機嫌になるんです」

雄也さんもけっこう束縛するんですよ……


「恋バナする流れだね……私は高校の時の初恋の人に再会していい感じだよ!」

あれっ? 如月さんって今猿社長のことが好きだったのではないでしょうか?


小豆沢さんと今猿社長が付き合ったらあっさり忘れたのでしょうか。

それとなく聞いてみましょう。


「如月さん台所を手伝って下さい」

「うん。いいよ! 」

どうにかして如月さんを呼び出すことに成功しました。


「如月さんは今猿社長のことが好きなんじゃないですか? 」

私は直球で話を切り出しました。


「えっ? ああ、もう昔のことだよ」

「そんなに簡単に諦められるものでしょうか? 」


「昔はね。橘さんにしか眼中にない蔵子を追いかける誠を見て、不毛だなと思って……橘さんと蔵子がひっつけば諦めてくれると思った。だからふたりを引っつけようと思ったんだ。でも今は違う。蔵子も誠のことを想っていてやっと誠も報われたんだから応援したいんだ。長年一緒にいれば誠がどれだけ蔵子を想ってるか分かるし……ネ」

今猿社長が好きだからこそ応援したいんですね。私とは全然考えが違い、自分が恥ずかしくなりました。

でも……


「でも……小豆沢さんが記憶を取り戻した時はどうなるでしょうか? その時後悔しないでしょうか? 私も小豆沢さんと橘さんを側で見ていて思ったのです。二人の間に入る隙はないと……心の底から愛し合ってたふたりがそう簡単に離れられるでしょうか? 」


「桃井さんは橘さんのことが好きだったのね。お互い大変だったね。蔵子しか見えない頑固な男性を好きになって」


「今は雄也さんがいますから」


「のろけもらいました! 私も不知火しらぬいくんのこと頑張ろうかな? 誠に不知火くんの話しをしたら『めぐまで初恋の人か……』って不機嫌になるのよ……。よっぽど橘さんのことを気にしてるのね」


今猿社長はやさしいからそんなことぐらいで不機嫌になったりするでしょうか?


「その反応って脈があるのでは……」

「ない! ない! 誠は蔵子一筋なんだから」

如月さんは笑って手を横に振りながら否定しました。


こうして女子会が終わり、みんな帰っていきました

しかし0時を過ぎても雄也さんは帰ってきません。

一体何をしてるのでしょうか?

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