第10話 権蔵編 何よりも重い!!
ワシ、権蔵は
はこべ……いや
しかし、おばけ屋敷やらでワシは具合が悪くなってしまったのじゃ。
決して怖くて腰を抜かしたとかではない!
「力さん大丈夫? 」
光殿が
「大丈夫じ……です」
ワシはまだ元気になれなかったのじゃ。
「少し横になったら? 」
そして光殿はワシの頭を自分の膝の上に乗せたのじゃ。
温かい……のう
光殿のぬくもりが頭越しに伝わる。
癒されるのう。
「少しは良くなった?
光殿が静かに言った。
「おかげでだいぶ良くなったわい……って権蔵?僕は権蔵じゃありませんよ」
ワシは慌てた!光殿にはお見通しだったか……
「隠しても分かるよ」
「光殿は分かってて、でえとしてくれたんか?」
ワシは驚いた……てっきりワシだと嫌がると思ったのに。
「まあ。まさかおばけ屋敷が苦手だとは思わなかったけどね……なんか心の奥底がときめいたから」
光殿は微笑みながら言った。
「そうか。ときめいたか……お主もワシのことを……」
そう言ってワシは起き上がり目を瞑って光殿に顔を近づけた。
─バキっ
ワシはグーで殴られたのじゃ……
「私ははこべさんじゃないの! 誰がキスしていいって言ったのよ! この変態! 私は小豆沢光で力さんが好きなの! 優しくするとこれなんだから! 」
光殿は腕を組んでわしと反対方向も見た。
「すみませんでした~! 」
ワシは即座に頭を下げ謝った。
「あれは蔵子ちゃんじゃない? 」
光殿はベンチに座っている蔵子を指さした。
何やら金髪の若い男と茶髪の若い男の2人組に絡まられている。
「おねえさん1人? 暇? 」
「僕達と遊ぼうよ」
「友達と来てるので……」
茶髪の男は蔵子の手を掴む。蔵子は嫌がっていた。蔵子! いつもみたいに睨みをきかして腕のひとつでもねじあげやんかい!
「離せ。その子は僕の彼女だ」
ジュースを2本持った権太が出てきた。
いいぞ! 権太かっこいいぞ!
「ひゃははは。この子がお前の彼女のわけないじゃん。せいぜいパシリくんだよ」
金髪の男はケラケラと笑った。
茶髪の男が権太を殴った。
権太も茶髪の男に殴り返した。
「ひゃははは。こいつは空手黒帯だぜ。勝てるわけないじゃん」
金髪の男が笑った。
「助けに行かなきゃ」
光殿が行こうとしたがワシは止めた。
「光殿はここで待っておれ」
権太のいる場所と違い、人通りが多くて目立つから安全じゃろう。
権太が殴られそうになった時、蔵子が前に立った。
「暴力はやめてください」
茶髪の男は蔵子の腕を引っ張る。
権太は茶髪の男を殴った。
「何だ。全然痛くないぞ。ははは」
茶髪な男が権太を笑っていた。
「痛たた……!」
ワシは茶髪の男と金髪の男の腕をひねりあげた。
「痛くないわけないじゃろう。こやつの愛の正拳突きはこの世の何よりも重いわあああ! 」
茶髪の男と金髪の男の頭をぶつける。
「まだやるのか? 」
ワシは殺気をめいっぱい出して2人を睨みつけた。
「ひゃあ……ごめんなさい~」
茶髪の男と金髪の男は逃げていった
「なんじゃ。
ワシは蔵子と権太の方を向いて言った。
光殿がワシに駆け寄ってきた
「橘さんが……怪我を……」
蔵子が権太を抱えながら言った。
権太が倒れて口から血を出していた。
「蔵子さん……」
権太はうわ言のように蔵子の名を呼ぶ。
蔵子はハンカチを権太の口元に当てる。
「ふんぬ! 」
ワシは権太の体を触り治療した。
するとみるみると権太の体は治った。
「ハッ。蔵子さん大丈夫? 」
権太はまず蔵子を見て、そして安心したようだ。
「私のために無理しないで下さい」
蔵子は泣いている。笹野ありすとしてなのか。記憶がない
「権蔵には最近は助けられてばっかりだな。ありがとう」
権太がわしの方を見ながら言った。
「典型的な絵に描いたようなチンピラだったね。いざとなったら私の防犯ベル鳴らして、携帯用スタンガンと防犯スプレーでやっつけたのに……まあ。かっこよかったよ。
光殿はワシに微笑んだ。
「権蔵……バレたのかよ……」
権太が一言呟いた。
「防犯べる? すたんがん? すぷれえ? 」
ワシは光殿が何を言ってるかわからなかった。
~光殿から説明を受けた~
「光殿……そ、そんな恐ろしいものを……」
ワシは説明を受けて光殿が言ってる意味がわかったら震えた。
「蔵子ちゃんにも予備のあるからあげる。持っていた方がいいよ」
最初会った時は光殿の方がオドオドしていたけど、実は、光殿の方が強いみたいじゃな。
「えっ。そうだね!私も強くなりたい」
蔵子は光殿から防犯
こうして小豆沢蔵子から
「かっこいい所権蔵に全部持ってかれたなあ」
権太は言葉と違い、笑っている
「権太もかっこよかったのじゃ」
ワシは見逃さなかったのじゃ。蔵子が熱い眼差しで権太を見つめていたことを……
「権蔵さん!はこべさんと会いたい?」
光殿はワシに駆け寄ってきた。
「それは……会えるなら会いたいわい」
ワシはもうはこべのことは諦めたものだと思っていたが、やはりこうして生まれ変わりとでえとすると会いたくなったのじゃ。
「協力するよ! 良い霊媒師を知ってるからまた橘さんに連絡するよ」
光殿あなたは天使の生まれ変わりか?
「ほんとか?!ワシのために……あっ1時間経った」
やばい。権太と約束した時間になったわい。
「誤解しないで。ただ協力するだけだよ!私が好きなのは、力さんだからね」
わかった、わかった。
ワシは橘力から抜け、権太の後ろに憑いた。
その後は光殿はわしの存在は見えないふりをして、力殿と楽しい時間を過ごし、2人は上手くいきそうじゃ。
なんか切ないのう……でも権太と蔵子も良い雰囲気になってきたからいいじゃろう
「権蔵…愛の正拳突きがこの世の何より重いって僕の愛が
権太がワシに質問してきた。
(ギクっ)
「そんなこと思ってないぞ……」
ワシは口笛を吹きながら誤魔化した。
「絶対思っていただろ! 」
権太がワシの顔を見ながら言った。
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