第11話 不知火 駿一!
どうやって会ったらいいのか……
不知火は『可愛い女の子が会いたい』って言ってるってで行こう……
聖川先輩は……確か
不知火にまず連絡してから智と会って協力してもらおう。
tocebook メッセンジャー
『可愛い女の子が不知火のこと紹介してと言ってるんだ。会えないか? 』
不知火には挨拶文なしで直球のがいいだろう!
tocebook メッセンジャー
『写真はあるか……? 』
不知火は食いついてきた!
僕は如月さんにTOINで頼んで自撮り写真をもらっていた。
tocebook メッセンジャー
橘権太
『この子だよ!』
如月さんの写真を添付して送った。
tocebook メッセンジャー
不知火 駿一
『可愛いじゃん!会ってやってもいいぞ!』
不知火はずいぶん上から目線で言ってきた。
tocebook メッセンジャー
橘権太
『明日の夜 たらりらんで20時な』
僕は地元のレストランを予約した。
如月さんに連絡して……いや、急ぎの時以外は桂に連絡するんだったな。忘れていた……
桂に明日のことを説明した。
TOIN 桂
『了解っす! 桃井ちゃんから如月さんに伝えてもらうっす。』
なんか連絡方法が回りくどくてめんどくさいな。
~翌日~
20時ぴったりに不知火は来ていた。
「おう。不知火!こちら
僕が如月さんを紹介した。
「はじめまして!」
不知火は会釈した。
「高校時代は中川海未と言う名前で同級生だけど覚えてないか? 」
僕はニヤリとしながら言った。
不知火の野郎覚えてないな。
「あ、あー海未ちゃん? ずいぶん変わったね! 高校時代は真面目な感じだったのに!」
不知火はニコニコと言った。
まさか不知火……覚えていたのか?
僕達はそれから世間話をした。
如月さんと不知火は2人だけで盛りあがっている。
「昔不知火くんのこと好きだったのよ!」
如月さんが笑いながら言った。
「それは知らなかった! 如月さんは彼氏とかいないの? 」
不知火は真面目に質問している。
「気になる人はいるんですけど、相手にされてなくて」
如月さんの考えが分からない……
不知火がいいのか。今猿さんがいいのか。
「ちょっと化粧室に」
如月さんがトイレに立った。
「おい!不知火。こないだ蔵子さんと高校時代付き合う振りをしたって言ったな? 」
僕は興奮していた。
「まず橘! 落ち着け! ミルクでも頼んでやろうか? 」
不知火の言葉になんかカチンときた。
「ミルクはいらない! 蔵子さんが脅されていたと言ったな? 吐け! お前がやったんだろ! 」
僕は頭に血が上っていた。
今までの話からだとこいつが怪しい。
「おいおい。いきなり犯人呼ばわりかよ! 確かに言ったがそれがどうした? 」
不知火が僕を睨む。
「いきなり犯人呼ばわりは悪かった。蔵子さんを脅したやつを探してるんだ。心当たりはないか? 」
僕も少し言い過ぎたな。
「うーん。俺が蔵子さんと付き合ってるふりをした時に靴に画鋲があったけど、その時の画鋲が吹奏楽部の備品と同じものだったぞ! だから吹奏楽部のやつじゃないか!?」
不知火がそう言うと僕は『不知火の靴に吹奏楽部の
「蔵子さんのことはどう思ってたんだよ? 」
僕は聞かなくてもわかっていたがあえて不知火に質問した。
「今も昔も憧れの人だよ」
だろうな。言うと思った。
「じゃあ如月さんは諦めろ! 」
如月さんみたいな良い人に不知火はもったいない!
「俺は
不知火がドンとビールを机に置いた。
「如月さんも高嶺の花だろ! やだね! 不知火と僕では状況が違うんだよ! 」
僕は不知火を睨んだ。
「どう違うんだよ! 俺より条件悪いくせに」
不知火も僕を睨んだ。
「僕達は両想いだったんだよ! それがすれ違いでこうなっただけだ」
「はあ? お前の勘違いだろ! どう考えてもあのイケメンに勝てると思えないけど」
不知火はあからさまに僕を馬鹿にする。
「うるさいな! それよりこないだの飲み代3500円返せ! 」
僕はこないだの飲み屋のレシートを見せた。
「わかったよ!細かいな。5000円で釣りよこせ」
僕は5000円を受け取り1500円を不知火に返した。
「そろそろ行きましょうか!」
如月さんが帰ってきた。
「ああ、俺が奢りますよ!」
不知火が伝票を取った。
「ゴチになります」
僕は不知火に言った。
「何を言ってるんだ。俺は如月さんの分だけ奢るんだよ! おまえは自分の分1500円自腹切れ」
不知火は伝票を僕に見せた。おまえも細かいだろ!
~帰り道~
如月さんも帰り、僕は権蔵と帰っていた。
「権蔵! 不知火に対して何かわかったか?」
僕はイヤホンをつけて権蔵に話しかけた。
「うーん。あやつは何も嘘をついてないのう。ただ何かを隠しているようじゃ」
権蔵はなんか
「やっぱり不知火が怪しいな」
自分が蔵子さんと交際したくて……気を引きたくて……と言う場合もあるなあ。
「如月は不知火に今も恋心があったように思ったな」
権蔵がニヤニヤしながら言った。
あまり思いたくはないが、不知火が蔵子さんのことが好きだから嫉妬して如月さんが……という場合もあるのかもしれないなあ。
「仲がいい、悪いで決めつけちゃダメじゃよ」
権蔵が僕の方を向いて言った。
「確かにな。客観的に見ないとな。」
僕は静かにそう言った。
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